先週、ドイツのZwick Roell社が主催する展示会に参加するため、ウルムとミュンヘンを訪れました。
今年で3回目の参加になりますが、行くたびに感じるのは、ドイツの人たちの「母国語ではない英語でのコミュニケーション力」の高さです。
彼らの会話には、単なる語学力を超えた“伝える力”と“聴く力”があるのです。
丁寧さの中にある知性
ホテルのチェックイン時から、それは感じられました。
部屋の準備状況を確認しながら、「今からお部屋に入られますか? それとも外出されますか?」と自然に予定を把握してくれます。
翌朝、ロビーで顔を合わせると、
“Sir, what time do you need your car today?”
(お客様、本日は何時ごろお車を必要とされますか?)
“9:30, please. I’d like to leave for the airport.”
(9時30分にお願いします。空港へ向かいたいのです。)
と答えると、
“Got it. We’ll have it ready at the entrance. Just to confirm — that’s in 40 minutes, right?”
(承知いたしました。玄関前に用意しておきます。確認ですが、40分後ですね?)
「9時30分ですね」と繰り返すのではなく、「40分後ですね」と時間差で確認するあたりに、相手の行動を先読みする知性と気配りを感じました。
何気ないやり取りですが、こういう一言が“信頼”を生むのだと思います。
ちなみに今回は、5人分の荷物を積むために9人乗りの大型バンを借りていました。ホテルの駐車場に入らないため、スタッフに鍵を預けて別の駐車場に停めてもらっていたのですが、彼らは出発時刻を細かく確認し、時間ぴったりに玄関前へ車をつけてくれました。
ドイツらしい正確さと、プロフェッショナルな温かさを感じました。
会話がつなぐ異文化の橋
レストランでは、こんな出来事もありました。
冗談まじりに“C’est parfait!”(セ・パフェ=最高です)とフランス語で伝えると、ウェイターが笑顔で、
“My second language is French”
と返してきました。
そこで私は、
“May I ask where you’re from?”(どちらの国のご出身ですか?)と尋ねると、
“Hint: my second language is French.”(ヒントは、第二言語がフランス語だよ)と軽くウインク。
“What do you think?”(どこだと思う?) と続けられたので、顔の雰囲気から、北アフリカ(モロッコ・アルジェリア・チュニジア)出身かなと思いつつ、少し考えて“Morocco(モロッコ)“と答えると、見事に正解。そこから一気に会話が盛り上がりました。
アフリカ大陸では、フランス語は“旧フランス植民地”を中心に広く使われており、フランス語話者の人口は実に1億人以上いると言われています。
皆さんも、中学や高校で何のために地理や歴史を勉強するのか?と思ったかもしれませんが、海外に出かけると、意外と役立つものですよ。
経営者同士の“対話”から
Zwick RoellのCEOとは、毎年数回、会食や面談を重ねています。
今回も展示会の多忙な中、1時間ほど二人で経営課題や市場動向について意見を交わしました。
夜はビールを片手に語り合い、国や文化の違いを超えて、経営者としての想いを共有しました。
ビジネスにおける英語とは、単なるツールではありません。
それは、相手を尊重し、自分の考えを誠実に伝えるための“心の器”だと思うのです。
旅を終えた今も、耳に残るのは彼らの穏やかな声と、確かなリズムで交わされた会話の数々。
言葉が生む距離の近さに、あらためて“伝える”ことの大切さを感じた一週間でした。
過去コラム:ドイツ人のコミュニケーションに学ぶ – kozuka.blog



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