英語は難しい単語で話すものではない(読了目安時間:5分)

――私が英語学習で重視してきたこと

前回のコラムでは、オーストリア出張を通じて、英語が「世界と直接つながるためのインフラ」であることを書きました。
提携先であるZwickRoellのオーストリア拠点を訪問し、クライアントをご案内しながら、視察や技術レクチャー、個別ミーティングを重ねる中で、改めて英語のありがたさを実感しました。
そんな中、同行されたクライアント企業の若手幹部の方が、
「今年から本格的に英語を勉強しようと思っています」
と話されていたのが、とても印象に残りました。
そこで今回は、その続編として、私自身が英語を学ぶ上で重視してきたことを書いてみたいと思います。

多くの日本人は、英語に対して必要以上に身構えているように思います。
「単語をたくさん覚えなければならない」
「難しい文法を理解しなければ話せない」
「ネイティブのような発音でなければ恥ずかしい」
そんな思い込みが、英語への苦手意識を強くしているのではないでしょうか。
しかし、私が銀行員時代にスイスとアメリカで4年以上仕事をして感じたのは、実際の英語は、私たちが想像しているよりずっとシンプルだということです。
むしろ、英語が上手な人ほど、難しい単語を使いません。

ネイティブスピーカーが日常的に多用しているのは、
take
get
make
come
go

こうした、中学英語で最初に習うような基本動詞です。
ただし、その使い方が実に巧みです。
日本の英語教育では、単語の意味を一対一で覚える傾向があります。
take=取る
get=得る
make=作る
という具合です。
しかし実際には、それぞれの単語にはもっと広いニュアンスがあります。

例えば take です。
車で移動していて、高速道路の分岐があったとします。
「真ん中の車線を行ってください」
これを英語でどう表現するでしょうか。日本人なら、つい直訳して
“Please go the center road.”
のような表現をしてしまいそうです。
しかし自然な英語なら、
“Please take the middle lane.”
です。
この take には、「選び取る」という感覚があります。
つまり、「真ん中の車線を選んで進んでください」という意味になります。
だから非常に自然で、相手にもわかりやすいのです。
同じように、
Take the next exit.
(次の出口を降りてください)
Take a seat.
(お掛けください)
Take your time.
(ごゆっくりどうぞ)
これらもすべて、「何かを選び取る」というニュアンスでつながっています。

私はこの感覚を理解した時、英語が急に身近になりました。難しい単語を覚えるのではなく、基本単語の“感覚”をつかむ。これが大事なのだと気づいたのです。
get も面白い単語です。
学校では「得る」と習いますが、実際にはもっと広く、「ある状態になる」という意味
で頻繁に使われます。
I got tired.
(疲れた)
I got hungry.
(お腹が空いた)
It’s getting cold.
(寒くなってきた)
これも「得る」と訳すと不自然ですが、「状態の変化」と考えるとしっくりきます。

つまり、英語は単語の丸暗記ではなく、“核となる感覚”を理解する言語なのだと思います。
もちろん、語彙力が不要だと言っているわけではありません。
仕事で専門分野の議論をするなら、それなりの専門用語は必要です。
しかし、土台になるのはやはり基本単語です。
私は海外勤務時代、決して流暢な英語を話していたわけではありません。
聞き取れず困ったこともありますし、言いたいことがうまく伝わらず悔しい思いも何度もしました。日本人が聞き取りで最初につまずくのは、並べられた単語はシンプルなのに、その意味が理解できない点にあるのではないかと感じています。
それでも仕事ができたのは、「伝えよう」とする姿勢と、シンプルな言葉で組み立てる習慣があったからだと思います。

英語学習というと、多くの人がTOEICの点数や試験対策を思い浮かべるかもしれません。
もちろん、それも一つの目標です。
しかし、本当に大切なのは「相手と意思疎通できること」です。
完璧な英語である必要はありません。
難しい単語を並べる必要もありません。
伝わればいいのです。
むしろ、伝わる英語ほどシンプルです。
世界に出ると、日本国内だけでは見えない景色があります。
異なる文化、異なる考え方、異なる価値観に触れることで、自分自身の視野も確実に広がります。
その入口になるのが英語です。
そして、その第一歩は、難しい単語帳ではなく、中学英語の基本動詞かもしれません。
英語は、遠い存在ではありません。
むしろ、私たちが思っている以上に、シンプルで実用的な道具なのです。

最後に私が英語学習でおススメしている大西泰斗先生の著書を紹介して、結びとしたいと思います。

NHKラジオ英会話 英単語 基本イメージ集中講義
大西 泰斗 (著), ポール・マクベイ (著)

一億人の英文法 ――すべての日本人に贈る「話すため」の英文法(東進ブックス)
大西 泰斗 (著), ポール・マクベイ (著)

普通の英単語 単行本(ソフトカバー)
大西 泰斗 (著), デイビット・エバンス (著)

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