―仕事とプライベートの「重み」の考え方―
新社会人の皆さんに向けて、前回のコラムでは「読書」を勧めました。
では次に必ず出てくる問いがあります。
「仕事とプライベート、どうバランスを取ればいいのか?」
これは実に良い問いです。
そして結論から申し上げると、私はこう考えています。
独身のうちは、仕事を最優先してよい。
少し極端に聞こえるかもしれませんが、これは精神論ではなく、極めて現実的な話です。
社会人としての時間の使い方は、人生のステージによって大きく変わります。
独身のうちは、自分の時間をほぼ自由に使えます。
仕事に没頭することも、資格取得のために勉強することも、自分の意思ひとつで決められます。
しかし、結婚をすれば話は変わります。
パートナーと過ごす時間を確保する必要が出てきます。
さらに子供が生まれれば、生活は一変します。
育児、学校行事、習い事、家族との時間――
それらは「やるかどうかを選べるもの」ではなく、当然に果たすべき役割になります。
つまり、自分のためだけに使える時間は、確実に減るのです。
だからこそ、私は思うのです。
時間が最も自由で、かつ体力・記憶力が充実している20代こそ、仕事に全力で向き合うべき時期である。
ここでいう「仕事に没頭する」とは、単に長時間働くことではありません。
・仕事の本質を理解する
・自分の強みを磨く
・専門性を身につける
・どの会社でも通用するスキルを獲得する
こうした一生涯使える「土台」を築くことです。
この土台は、後から取り戻すのが非常に難しいものです。
私自身、銀行員としてキャリアをスタートした頃を思い出します。
当時、独身寮に住んでいましたが、印象的な光景がありました。
それは「風呂が一番混む時間帯」です。
普通であれば、夜の10時や11時を想像するでしょう。
しかし実際には違いました。
一番混むのは、夜中の1時頃だったのです。
なぜか。
多くの行員が、夜11時、12時頃まで仕事をしていたからです。
そして寮に戻り、ようやく風呂に入るのがその時間帯になる。
今の感覚からすると驚くかもしれません。
しかし当時の我々にとって、それは「当たり前」でした。
そして、その時間の積み重ねが、確実に自分の力になっていたと実感しています。
誤解していただきたくないのは、
「人生は仕事だけでいい」と言っているわけではありません。
むしろ逆です。
将来、仕事とプライベートの両方を充実させるために、若いうちに仕事に投資すべきだという話です。
若い頃に身につけたスキルや経験は、後の人生で「選択肢」を増やしてくれます。
・仕事の自由度
・収入の安定、増加
・時間の使い方(優先順位の決め方)
これらはすべて、若い頃の蓄積に大きく依存します。
最近は「ワークライフバランス」という言葉が定着しました。
もちろん大切な考え方です。
しかし、ここで一つ意識しておきたいことがあります。
バランスは、常に一定である必要はない。
人生には「アクセルを踏む時期」と「ハンドルを調整する時期」があります。
20代は、迷わずアクセルを踏む時期です。
ここで得た加速は、その後の人生を長く支えてくれます。
最後に、社会に出た20代の皆さんに一言だけお伝えしたい。
若いうちに流した汗は、裏切らない。
その汗は、やがて自信となり、信用となり、
そしてあなた自身の「選択できる人生」を支える力になります。
どうか恐れずに、仕事に没頭してみてください。
その経験は、必ず将来のあなたを助けてくれるはずです。

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