「この会社に本当に居ていいのだろうか?」
「こんな上司の下で働き続けて意味はあるのか?」
「こんな経営者の会社では働けない」
社会に出た20代、30代の多くが、こうした迷いや不満を持つことは一度や二度ではないはずです。会社の経営方針や評価の仕組み、人間関係のストレス。学生時代のフラットな人間関係とは違い、理不尽を飲み込む日々が続くこともあるでしょう。
ただ、その煩わしさのなかで「どうせここは自分の居場所じゃない」「こんな会社で一生懸命に仕事するなど意味がない」と、仕事自体への情熱を失ってしまうのは、人生の大きな損失です。
「会社が好きになれない」という感情は、かなり普通
実は、20代や30代の「会社が好きになれない」という感情は、かなり普通です。私自身もそうでした。
30年ほど前、がんで亡くなる直前の父から「終身雇用は崩れる。会社だけで評価される人ではなく、社会で評価される人になりなさい」と言われました。マツダで人事の仕事に長く携わっていた、社会人の大先輩である父のこの言葉が、その後の金融商品トレーニングの仕事や、独立後の事業経営の仕事を学ぶ原動力になったことは言うまでもありません。
「会社」は外部要因、「仕事」は内部資産
会社は、時とともに変わる外部要因です。転職、異動、配属替え、定年――どんなに好きでも、いつかは必ず関係が切れます。会社は人の入れ替わりを前提として動いているので、「一生面倒を見てもらう」という発想は現実的ではありません。
一方、「仕事」は自分の資本です。
・短時間で設計・構築できる技術力
・複雑な課題を分解して解く思考力
・どんな相手にも伝えられるコミュニケーション力
・人財を育成する能力
これはすべて“自分の中”に積み上がる資産です。会社から離れても、身につけた力やプロ意識はどこでも再現できます。逆に、会社への不平不満で仕事を疎かにすれば、会社は困りません。損をするのは「未来の自分」です。
「会社が嫌いだから仕事も手を抜く」は最悪の自己損失です。
「この会社に義理も愛着もないから、仕事はほどほどにやろう」――そう考えた数年後、転職市場に出たときに「何ができるか」が何も残っていないという現実に直面します。
会社で磨かれたスキルや推進力は、必ず次のフィールドで評価されます。「好きになれない環境でも成果を出せる人」はどこへ行っても強い。会社の事情や嫌いな上司を言い訳にしている限り、環境依存の力しかつきません。それは「どこでも通じる仕事力」が身につかないということです。
転職・異動で“使える”のは、仕事の実力だけ
20代、30代は転職が当たり前になってきました。見られているのは「どこで働いていたか」より「何ができる人か」です。
「前の会社だからできた」のではなく、「どんな場所でも成果を出せるか」。
会社を移った瞬間、肩書きや社内人脈はゼロになります。残るのは、習慣化された“丁寧な仕事”だけです。
周囲の期待が高くない場所ほど、きれいに仕事を仕上げると一気に目立ちます。どんな場所でも自分の仕事をきれいに終える癖を持つ――それが「再現できる信頼」になります。
定年・セカンドキャリアも20代・30代の積み重ねで決まる
「どうせ今の仕事は定年まで続かないし、目の前だけやっておけばいい」――これは危険です。
日本の会社は今でも、「この人は真面目に向き合ってきたか」「周囲を育ててきたか」を見ています。部下と向き合う姿勢、組織を良くしようとした姿勢、環境が整っていなくてもベストを尽くせたか。定年後に“もう一度お願いしたい”と言われるのは、愚痴や批判ではなく「その人の仕事ぶり」です。
この“準備”は40代・50代になってからでは遅い。今の仕事ぶりが、そのまま将来の選択肢を決めます。
まとめ:「会社と仕事」は切り離して生きよう
• 会社は外部要因。永遠ではない
• 仕事の質とスキルは内部資産。どこでも通用する
• 会社が嫌いでも、仕事まで嫌いになると自分が損
• 真剣に取り組んだ仕事だけが、転職・定年後に形を変えて戻ってくる
• 周囲や組織を良くしようとした積み重ねが、次のチャンスを運んでくる
今、会社に感じる違和感や不満は、人生の一部にすぎません。会社に振り回されず、“丁寧に自分の仕事を磨く”。どこにいてもプロとして、“自分だけの力”を積み上げる人こそが、この不確実な時代に“選ばれる人”です。
「会社はいつか切れても、仕事力は裏切らない」——これを、今週のメッセージとして贈ります。

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