先週は、当社グループ会社の社員の方と食事をする機会がありました。私は今年、当社のグループに加わっていただいた会社の社員の方と定期的に食事会を開催しています。まずは私という人間がどのような考え方を持ち、どんな価値観で会社を経営しているのかを知っていただくことが、共に働く上での信頼関係を築く第一歩だと思っているからです。形式的な会議や業務報告だけでは伝わらない部分を、食事の場を通して共有できるのは非常に有意義なことだと感じています。
その日の会話の中では「営業」が話題になりました。グループ会社の社員から、日々感じている課題などを率直に話してもらい、私も自身の経験を踏まえて意見交換をしました。ただ、後々振り返ると、営業において私が最も大切だと考えている“ある要素”を伝え忘れていたことに気づきました。今回は、その肝心なことをあらためて皆さんにお伝えしたいと思い、このコラムにまとめることにしました。
営業と聞いて思い浮かぶもの
営業と聞いて、多くの人がまず想像するのは「製品やサービスのプレゼン」や「仕様や価格の説明」でしょう。もちろん、それらは営業活動の基本であり、重要な要素です。しかし、私はそこにもう一つ、忘れてはならない視点があると考えています。それが エンタメ性 です。
「営業にエンタメ?真面目な仕事にそんなものは不要ではないか」と思う方もいるかもしれません。しかし、人はどんな時に財布の紐を緩めるのでしょうか。冷静な理屈だけで人は動くでしょうか。実際には、多くの場合「好きなこと」「楽しいと感じること」、つまり 快楽 に触れた時に、人は喜んでお金を使います。
快楽にお金を払う人間の本質
人間の消費行動を観察すると、それは一目瞭然です。
推し活に熱中している人は、グッズやライブに惜しみなくお金を費やします。ゲーム好きな人は新作や課金に夢中になります。車やゴルフといった趣味の世界でも同様です。そこには「合理的かどうか」よりも、「自分が楽しいかどうか」という判断軸が大きく働いているのです。
営業の場で「快楽を提供する」と聞くと、少し大げさに聞こえるかもしれません。しかし、例えばプレゼン中に相手が笑顔になったり、場が和んだりするだけでも、それは立派に快楽を提供していることになります。誰もが、重苦しい雰囲気の会議よりも、笑いが交じる会議の方が心地よいものです。営業という仕事は、単なる情報伝達にとどまらず、相手の感情を動かす仕事でもあるのです。
食事の場は最大のチャンス
また、営業活動においては、プレゼン以外にも「快楽を提供する場面」が数多く存在します。その一つが、クライアントやお客様との会食です。もし食事に誘い、相手が応諾してくれたのであれば、それは美味しい料理を一緒に楽しむという、最高の快楽提供のチャンスになります。
人は、美味しいものを食べたり、自分の好きなものを味わったりすることで、一気に心を開くことがあります。料理の味や雰囲気といった「快楽」は、相手の記憶に強く残り、結果的に自社や自分に対する印象を良くします。もちろん、会社の規模や顧客ごとの取引額を考慮して費用対効果を判断する必要はありますが、将来の利益に結びつく投資・費用であれば、適切な範囲で活用すべきだと考えます。
忘れられがちな“エンタメ性”の力
結局のところ、営業の本質は「相手に価値を感じてもらうこと」です。その価値は製品やサービスの性能や価格だけでなく、感情的な満足、つまり「快楽」によって大きく左右されます。そこに少しのエンタメ性が加わることで、営業は単なる情報のやり取りから、心に残る体験へと変わります。
私が社員の皆さんと共有したかったのは、「営業は真剣であればあるほど良い」という発想から少し離れてみてもいい、ということです。誠実さや真剣さは当然必要ですが、それだけでは相手の心を動かすのは難しい。そこに遊び心やユーモアを交えることで、はじめて営業は「人間らしい魅力」を帯びていくのだと思います。
今日からできる行動提案
最後に、皆さんがすぐに実践できる行動提案を3つ挙げたいと思います。
一つだけ忘れてはならないことは、自分ではなく、相手の快楽にフォーカスすることです。
- 会話にユーモアを一つ入れてみる
プレゼンや商談の中で、相手が笑顔になれる一言を準備してみましょう。それだけで雰囲気が大きく変わります。 - 相手の“好き”をリサーチする
趣味や関心事をさりげなく聞き出し、話題に取り入れてみましょう。相手が快楽を感じる領域に触れられると、一気に距離が縮まります。 - 会食を「快楽の場」と意識する
単なる打ち合わせの延長ではなく、美味しい料理や楽しい会話を共有する場と考えましょう。それが信頼構築につながります。
営業とは、単にモノやサービスを売ることではなく、人間同士が信頼を築き合う営みです。その中で「エンタメ性」という視点を忘れないこと。それこそが、長く選ばれる営業パーソンになるための大切な要素だと、私は強く思います。

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