一流になるには、膨大な時間が必要だ〜「富の方程式」は、努力の蓄積にこそ宿る〜(読了目安時間:5分)

先週末、高校の同級生である歯科医と再会する機会がありました。彼は広島で開業し、地元ではトップクラスと称される実力の持ち主です。その彼がふと、こんなことを口にしました。
「最近、日本には将来がないんじゃないかと感じることがあるんだ。」
驚いて理由を尋ねると、ある大学教授の話をしてくれました。その教授は、院生に「お前なあ、これじゃダメなんだ」と指導したところ、言葉が“侮辱”にあたるとして訴えられてしまったというのです。精神的苦痛を受けた、というのが訴因だそうです。
「昔は、課題ができるまで夜中12時まで残って取り組んでいた。でも今は、定時を過ぎると“教授の教え方が悪い”と言われるらしい。僕が研修医だった頃なんて、時給に換算すれば250円。でも、必死だった。技術を習得したかったからだ。」
そう語る彼は、今の若者が口にする「コスパ」「タイパ」といった言葉に、危うさを感じているようでした。効率と権利ばかりが重視され、努力や積み重ねが軽んじられる風潮。このままでは、技術も未来も失われる――彼の言葉は、単なる嘆きではなく、危機感の表れでした。

私も、全くの同感です。
私自身、銀行に就職した当時は、まだ完全週休二日制ではなく、土曜の午前中も店舗が営業していました。渉外課や融資課は、土曜日も夜遅くまで働くのが当たり前。平日は朝8時から夜11時までが通常勤務で、夜9時に仕事が終わると「今日は早かった」と感じるほどでした。独身寮では、最もお風呂が混み合う時間帯が深夜12時から2時。いま振り返ると、無駄なコピー取りや、書類の番号を揃えるといった非効率な作業も多々ありましたが、それでも得たものがあります。
それは、“ハードワークに慣れる”ということ。つまり、仕事をする「体力」が身についたということです。

仕事でもスポーツでも、何かで一流になろうと思えば、相応の“時間”が必要です。プロスポーツの世界では、「1万時間の練習」が一流への目安とされることがあります。時間をかけずして、成功や富を得られるなどという幻想に、踊らされるべきではありません。
たとえば、MLBシカゴ・カブスで活躍する鈴木誠也選手。広島カープに在籍していた彼は2016年、日本シリーズで、日本ハムファイターズに敗れたその夜、誰もいない室内練習場で黙々とバットを振り続けていたそうです。長い1年のシーズンを戦い抜いた最終戦の日。多くの選手が一息つく中、彼はすでに次に向けてバットを握っていたのです。この姿勢と努力こそが、日本のプロ野球からMLBへの扉を開け、その扉の向こう側で活躍できる基礎を作ったことは言うまでもありません。
おそらくプロアスリートは、「時間」にとらわれず、真っすぐに努力を注げる、数少ない職業なのかもしれません。仕事として、これほど尊い姿勢はないと思います。

最後に、私の好きな一冊『富の方程式』(スコット・ギャロウェイ著)から一節を紹介します。

「私の周りにも、遺産を相続した人を除き、20年以上ハードに働かずに富を築いた人はいない」

ビジネス界でもスポーツ界でも、富を築いた人、高い報酬を継続して受け取っている人は、表面的には“華やか”に見えるかもしれません。しかし、その裏側には、私たちの想像を超えるような努力や習慣が積み重ねられていることがほとんどです。
「運が良かっただけ」「才能があったから」と片づけてしまえば、それ以上の成長はありません。
むしろ、成功している人ほど、毎日のルーティンや時間の使い方に徹底的にこだわっており、小さな積み重ねを何年も続けています。

成功とは、決して偶然ではなく、“習慣”と“時間”の副産物なのです。

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