「10万円のオムレツなんて、誰が食べるのか?」
リッツ・カールトン大阪では、開業20周年を迎えた2017年、「10万円オムレツ」として知られる特別な朝食メニューが提供されていました。このメニューは、2名様で108,000円(税込・サービス料別)という価格で、以下のような豪華な内容でした:
• ドン・ペリニヨン(フルボトル)
• フレッシュフルーツジュース
• 鳥骨鶏の卵を使用した3種類のオムレツ:
o オシェトラキャビアを添えたオムレツ(フロム・ザ・リバー)
o オマール海老のオムレツ(フロム・ザ・シー)
o トリュフ入りオムレツ(フロム・ザ・ランド)
• デニッシュペストリーとブレックファーストバスケット
• コーヒーまたは紅茶
この特別な朝食は、1日1組限定で、完全予約制(3日前までの予約が必要)でした。高級食材をふんだんに使用し、シェフが目の前で調理するという贅沢な体験が話題を呼び、「伝説のオムレツ」として広く知られるようになりました。
多くの人が「売れるはずがない」と思いました。ところが現実には、予約は瞬く間に埋まり、話題が話題を呼ぶヒット商品となりました。
このサービスを企画したホテルのマネージャーは、次のように語ったといいます。
「私が食べるかどうかではなく、1泊10万円払うお客様なら、これに価値を感じるかどうかを考えた。」
まさに、ここにビジネスの本質があります。
■ 自分の物差しで判断してはいけない
マーケティングや営業、商品開発の場面で、私たちはつい「自分だったら」という感覚を基準にしてしまいがちです。
- 「こんなに高い商品は売れないだろう」
- 「こういうサービスは自分なら使わない」
でも、お客様はあなたではありません。収入、価値観、家庭環境、生活環境、全てが違います。
だからこそ、自分の常識を疑い、「誰にとって価値があるのか?」という顧客視点が問われるのです。
■ 顧客の感性を想像する力
リッツ・カールトンのオムレツは、「高いから売れない」ではなく、「高いからこそ体験になる」と捉えた結果生まれた商品です。
その背景には、「顧客は“非日常の価値”に対してなら10万円を支払う」という明確な理解がありました。
この“顧客の感性に想像力を持てるか”という力こそが、サービスや商品を成功へ導く分岐点となります。
■ 最後に
営業の現場でも、「自分だったら買わない」「自分には高すぎる」といった感覚で提案の幅を狭めてしまうことが少なくありません。ですが、お客様はあなたではありません。
重要なのは、「このお客様は、どんな価値にお金を払う人なのか?」を丁寧に読み取ること。
価格ではなく、“その人にとっての意味”に目を向ければ、これまで「売れない」と思っていた提案にも可能性が見えてきます。
自分の感覚を一歩脇に置いて、
“お客様の世界”で考える。
この視点を持てるかどうかが、提案の質を大きく変え、成果につながっていくのです。

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