先週2月1日、メタ(旧Facebook)は2023年10月~12月の四半期決算を発表し、純利益が前年同期比で3倍に増加し、140億1700万ドル(約2兆500億円)に達したことを明らかにしました。これは四半期ベースでの過去最高記録です。
私は、メタの創業期からの基本戦略が変わっていないと考えています。その戦略とは、ユーザー(顧客)の時間を確保することにあります。人には1日に使える時間が24時間あります。睡眠時間を8時間と仮定した場合、残り16時間のうち、どれだけをFacebookやInstagramに割いてもらえるかが鍵を握ります。多くの人がFacebookやInstagramに没頭して時間を忘れる経験は一度や二度ではないでしょう。このようにユーザーがプラットフォームに滞在する時間が、メタの収益の源泉であることは疑いの余地がありません。
スマホ、PC、通信ネットワーク、SNS等が社会インフラとなったビジネス環境では、顧客の時間をどのように捉え、価値あるものに変えるかが、企業の発展において重要な役割を果たしています。顧客の注目を引き、顧客の時間を有意義に使ってもらうことができれば、それが直接的に営業成績や企業業績の向上につながるのです。このコラムでは、顧客の時間を制することがなぜ営業を制することに等しいのか、そしてそれを達成するための戦略について考察します。
顧客の時間とは「新たな通貨」
デジタル化が進む現代社会において、顧客の時間はまさに「新たな通貨」と言えます。SNSや動画ストリーミング、ゲーム、各種アプリケーションの利用時間が増加する中、企業は顧客の貴重な時間をどのように引きつけ、保持するかに腐心しています。特に、年齢層別に見たアプリ利用傾向を分析することで、ターゲットとする顧客層に合わせたマーケティング戦略を練ることが可能です。
年齢層別アプローチの重要性
例えば、10代から20代前半の若年層に人気のSNSやエンターテイメントアプリでは、ビジュアルコンテンツや短い動画が効果的なエンゲージメントツールとなります。一方で、40代から50代の中年層では、ニュースや健康管理アプリへの関心が高いため、これらのニーズに応えるコンテンツが重要になります。企業はこれらの傾向を理解し、顧客が価値を感じるコンテンツを提供することで、その時間を有効に活用し、深い関係を築くことができるのです。
BtoBとBtoCの橋渡し
このアプローチはBtoC(企業から消費者へのビジネス)だけでなく、BtoB(企業間取引)においても同様に有効です。Face to Faceの営業や接待における時間の質は、信頼関係の構築や長期的なビジネス関係の発展に不可欠です。顧客との接触点を有意義なものにすることで、企業は自身の提案がどのように顧客のニーズに応えるかを効果的に伝える機会を得ることができます。
もし、今、あなたが営業マンで、顧客と向き合って、コーヒーを飲みながら雑談をしていたとします。もう、これで十分なのです。なぜなら、今という時間はあなたが顧客の時間を確保しているのであって、少なくとも、目の前にいる顧客は競合の営業マンとは時間を共有していないからです。
BtoBにおける時間を制する戦略
成功への鍵は、顧客の時間をどのように有効に活用し、それを企業の価値提供に結びつけるかにあります。これを実現するためには、以下の点が重要です。
- ターゲット層の理解: 部署別、職務、職階別の利用傾向を把握し、顧客が求める価値を正確に提供する。
- コンテンツの質: 顧客の関心を引き、エンゲージメントを促す高品質な提案や方法を提供する。
- パーソナライズ: データ分析を活用し、顧客一人ひとり、もしくは職務に合わせたパーソナライズされた体験を提供する。
- 効率的なコミュニケーション: BtoBにおいては、顧客との直接的な関わりを通じて信頼を築く。
顧客の時間を有意義に使ってもらうことは、単にビジネスの成功を左右するだけでなく、顧客との長期的な関係を築く基盤となります。「時間を制する者が営業を制す」というのは、このデジタル時代におけるビジネスの新たな格言と言えるでしょう。企業が顧客の時間に真の価値を提供することができれば、それが最終的に企業の成功に直結するのです。
<単語補足説明>
エンゲージメントengagement
一般的に「約束」「関与」や「参加」を意味し、ビジネスやマーケティングの文脈では、顧客やユーザーがブランドや製品、コンテンツとどのように積極的に関わっているかを示す指標です。具体的には、顧客が製品を購入すること、SNSでのブランドの投稿に「いいね!」をする、レビューを書く、コンテンツを共有するなど、様々な形で示されます。
高いエンゲージメントは、顧客との強い関係の構築、ブランドへの忠誠心の増加、最終的には売上の向上につながるとされています。
エンゲージメントを高めることは、顧客体験を向上させ、ブランド価値を高めるための重要な戦略となります。企業やブランドは、顧客が積極的に関与しやすい環境を作り、興味や関心を持続させるために、質の高いコンテンツの提供や、対話やフィードバックの機会を増やすことが求められます。

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