先週1月10日、米証券取引委員会(SEC)は暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(Bitcoin)を運用対象とする上場投資信託(ETF)11本を承認すると発表しました。ビットコインが価格操作、マネーロンダリング、テロ資金調達への懸念など、様々なリスクに対して引き続き慎重な規制と監視が求められる中で行われました。この承認は暗号資産市場における投資の正当性と安全性を強化し、さらには機関投資家や個人投資家が市場に参加しやすくなるという重要な一歩を示しています。
従来、ビットコインを取引するには専用の暗号資産ウォレット(専用口座)の開設が必要でしたが、これらのETFの承認により、一般の証券口座を通じてビットコインETFを購入することが可能になりました。これは、ビットコインへの投資をより身近なものにし、投資家の裾野を広げることに間違いなく寄与するでしょう。
本コラムでは、これまでビットコインに縁のなかった、あるいは、ビットコインを知っているようで、知らなかった読者の方に、ビットコインを巡る論点を私なりに整理しましたので、読んでみてください。
(ただし、ブロックチェーンや暗号資産の仕組みに関する情報は、書物やネット記事が多くありますので、割愛します)
- ビットコインに対する懐疑派の主な主張
(1) 価値の不安定性 : ビットコインは価格変動が激しく、投資家にとってリスクが高いとされています。これは市場の不確実性や投機的な取引によるものです。
(2) セキュリティの懸念 : ビットコインの取引はブロックチェーン技術によって保護されていますが、取引所のセキュリティ侵害や個人のウォレットのハッキングの危険があります。
(3) 規制と法的な問題 : 多くの国ではビットコインを含む暗号通貨の規制が未確立であり、法的な枠組みが不透明です。これにより、詐欺やマネーロンダリングなどの違法行為に悪用されるリスクがあります。
(4) 環境への影響 : ビットコインのマイニング(新しいコインを生成するプロセス)は、膨大な量の電力を消費します。これが環境問題、特に地球温暖化への懸念を引き起こしています。
(5) 限られた用途と受け入れ : 現在のところ、ビットコインを日常取引に使用する場合は限られています。
- 裏付け資産がない
ビットコインに対する懐疑派の中には、「裏付け資産がない」という点を重要な懸念事項として挙げる投資家もいます。これに関連する主な点は以下の通りです:
(1) 一般通貨との違い : 米ドルや日本円のような通貨(フィアット通貨)は通常、政府や中央銀行によって支えられており、その価値は国の経済や政策に裏打ちされています。しかし、ビットコインのような暗号通貨は、物理的な資産や政府の保証によって裏付けられていないため、その価値は純粋に市場の供給と需要に基づいています。
(2) 価値の基準の不在 : ビットコインの価値は市場の憶測、投機、感情に大きく左右されるため、価値が不安定になりやすいです。
(3) 信頼と認識の問題 : ビットコインはデジタル通貨としての信頼性を築く過程にありますが、多くの人々や機関はまだそれを完全に受け入れていないか、理解していません。その結果、その価値と有用性についての認識は変動しやすいです。
(4) 投機的な特性 : 裏付け資産がないため、ビットコインは純粋に投機的な投資商品と見なされることがあります。これは、価格の急激な上昇だけでなく、大きな下落のリスクも伴います。
- ビットコインと米ドル(法定通貨)の類似点
ビットコインと米国ドルの間には、裏付け資産の観点から類似点があります。
(1) 米国ドルの裏付け : 米国ドルは、金本位制の撤廃以降、金や他の物理的資産によって直接裏付けられていません。現在のドルの価値は、米国政府とその経済力、および世界市場での信用と需要に基づいています。
(2) 債務と信用 : 米国政府の大規模な債務は事実ですが、ドルの価値は米国経済の全体的な強さと、国際市場での米国の信用に支えられています。これは、政府がその債務を管理し、必要に応じて金融政策を調整する能力に基づいています。
(3) ビットコインの異なる基盤 : 一方で、ビットコインは政府や中央銀行による直接の支援がなく、その価値は完全に市場の供給と需要に依存しています。ビットコインの価値は、その技術、限定された供給(最大2100万コイン)、およびユーザーコミュニティの信頼と採用に基づいています。
(4) 信頼性の違い : 重要な違いは、米国ドルが世界的な準備通貨であり、国際取引で広く受け入れられている点です。これに対して、ビットコインは新しい資産であり、その採用と認識はまだ発展途上です。
(5) 経済的・政治的安定性 : ドルの価値は米国の経済的・政治的安定性に強く影響されます。これはビットコインには当てはまらず、ビットコインの価値は技術的要因や市場の感情により大きく動くことがあります。
結論として、ビットコインと米国ドルはどちらも物理的な資産によって裏付けられていないものの、その価値の基礎となる要因は大きく異なります。ドルは政府の信用と経済力に基づいており、ビットコインは市場の信頼と技術的基盤に依存しています。
- 政府の信用
では、政府の信用力が高い国はどこなのか?
現在、下記の国が最高格付けのAAAを保持しており、強力な経済的・政治的安定性、財政責任、強固な金融システムが評価されています。
● オーストラリア Australia
● カナダ Canada
● デンマーク Denmark
● ドイツ Germany
● ルクセンブルク Luxembourg
● オランダ Netherlands
● ノルウェー Norway
● シンガポール Singapore
● スウェーデン Sweden
● スイス Switzerland
● リヒテンシュタイン Liechtenstein
残念ながら、米国はAA+、日本はA+と格付け機関の格付けはAAAではありません。
出所:https://worldpopulationreview.com/country-rankings/credit-rating-by-country
- まとめ
金が上場投資信託(ETF)として承認された後の価格推移と比較され、ビットコインが「デジタルゴールド」としての地位を確立する可能性があります。ただし、日本ではまだビットコインETFの購入が可能ではなく、国内での上場には時間がかかると見られています。
ビットコインの価値は前述の通り、市場の信頼と技術基盤に依存しています。
その市場の信頼を集めた結果、現時点でのビットコイン時価総額は約120兆円に達しているのです。
米国株式市場で120兆円の時価総額を超える会社は世界7社程度しかありません。
裏付け資産がなくても、120兆円の市場の信頼を得られれば、立派な投資対象金融資産と言えると私は考えます。

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