先週18日(金)、中国の大手不動産会社である中国恒大集団が、米国で連邦破産法第15条の適用を申請しました。
このニュースを海外メディア含めて、まとめると下記のように要約されます。
1.破産法適用申請の動きは、中国恒大集団が2021年12月に利払いの不履行(元本ではなく利息が支払えない)を起こしたことから始まりました。
中国恒大集団の負債は2021年12月の利払い不履行時点で3000億ドル相当(約34兆円、1ドル113円で換算)の負債を抱えており、2022年末には負債が約3330億ドル(約48兆円、1ドル145円で換算)に膨れ上がった模様。
⇒ 1民間企業の負債がもはや国家予算のようなレベルです。
2.中国恒大集団の状況は、高水準の債務、需要の低迷、高齢化など、中国経済が直面しているより大きな構造的課題を反映しています。中国は世界の生産と消費において極めて重要な役割を担っているため、こうした課題に対処しなければ、世界経済にさらなる圧力をかける可能性があります。
3.もうひとつの巨大不動産会社、碧桂園(カントリーガーデン)も苦境の兆しを見せており、中国の不動産セクターの問題がより、抜本的かつ構造的なものである可能性を示しています。
実はこの要約で、最も注視すべきは、3のカントリーガーデンの動向です。
カントリーガーデンは財務危機に陥っており、状況は下記の通り、要約できます。
1.碧桂園(カントリーガーデン)の現状: 中国の巨大不動産デベロッパーであるカントリーガーデンは8月10日、2つのドル建て債券の利払いをしていません。現在、正式な債務不履行を防ぐための猶予期間は30日間となっています。
2.デフォルト(※)の可能性の意義: 証券アナリストの中には、「カントリーガーデンのデフォルトは、中国恒大集団の破綻よりも影響が大きいと」指摘している専門家もいます。理由としては、「中国恒大集団の負債総額は3,330億ドルとカントリーガーデンの2,000億ドルより大きいが、カントリーガーデンのプロジェクト数が多いため、中国の不動産セクターと経済全体にとって重要な懸念材料となる」というものです。
※債務不履行のことで、債券の利払いや償還が約束通りに行われないこと。デフォルトには、いくつかのパターンがあり、利払いの停止、元本の払い戻しの停止、額面金額の一部のみ払い戻しなどを総称してデフォルトと言います。
3.カントリーガーデン:1992年に設立されたカントリーガーデンは、昨年の売上高では中国トップのデベロッパーでしたが、2023年には5位に転落しています。同社は減収を報告しており、今後数年でさらなる落ち込みが予想されます。同社のプロジェクトの大半はTier3とTier4(地方都市より更に田舎の町)に立地しています。株価も最近大幅に下落し、年初3HKドルあった株価は、現在0.76HKドル。2017年高値からは20分の1の水準。

4.負債問題: カントリーガーデンは2つの社債で合計2250万ドルの利払いを怠りました。2022年末時点で2000億ドル(約27兆円、1ドル135円で換算)近い負債を抱えており、相当資金繰りが悪化しています。
5.中国恒大集団との比較: 中国恒大集団の破綻は重大ですが、カントリーガーデンの状況は規模も経済状況も異なります。中国恒大集団は主に借り入れによって成長し、最終的には資金繰り危機に直面しました。しかし、中国で都市部以外で多くのプロジェクトを保有するカントリーガーデンの状況はより危うい可能性があります。
下記グラフは、Tier1(北京、上海、広州、深圳などの大都会)、Tier2(地方都市)、Tier3(更に田舎の都市)の住宅価格推移グラフです。カントリーガーデンが手掛けているプロジェクトが多いTier3の住宅価格の下落幅は大きく、今年に入り更に悪化しているものと思われます。

出所:International Monetary Fund Author/Editor: Kenneth Rogoff ,Yuanchen Yang
https://www.imf.org/en/Publications/WP/Issues/2022/09/29/A-Tale-of-Tier-3-Cities-524064
日本国内では、多くの専門家は中国大手不動産会社の破産法適用申請やデフォルトは、国内経済に与える影響は限定的という意見が多いようです。その根拠は、日本が中国に対する直接投資額が約11兆円と主要国対比相対的に少ないからです。(英国は約3倍)
しかしながら、リーマンショックの前年2007年12月末時点で、日本の金融機関が保有していたサブプライム関連商品は3,550億円(※2)でしたが、日本の国内経済にも大きな影響を与えました。
※2:https://www.fsa.go.jp/news/21/ginkou/20100625-2/01.pdf
例えば、皆さんはそれほど規模の大きくないあおぞら銀行が約210億円のサブプライム商品を保有していたことを知っていましたか?もちろん、知らないでしょうし、私も知りませんでした。
マネーは世界中を昼夜関係なく動き回り、どこのお金がどこに流れているかなど、マクロ統計的には把握できたとしても、実態把握はほぼ不可能です。
まして、世界中の個別の金融機関や証券会社がデリバティブ商品や信託商品を誰にどれだけ販売したかなど、実態を把握するのはほぼ不可能に近いと言えます。
“金融のあいまいさは奇妙ともいえる”(Zero to One ピーター・ティール、101ページご参照)
1997年7月 アジア通貨危機
1998年8月 ロシア金融危機
2011年9月 リーマンショック
不思議と大きな危機は夏場以降に起こっています。
私は国内経済、株価にも影響があると想定する方をオススメします。


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