私は正月に実家の広島に帰省した際、初めて姪の家族に会う機会がありました。結婚したのがコロナ禍の時期であったため、遅ればせながら、ご挨拶をしました。
現在、姪の家庭では、ご主人の実家近くに持ち家を購入する予定であり、私に、住宅ローンを借りるには、変動金利が良いか、固定金利が良いか、熱心に質問されました。
私は、「30年、35年という長い期間の借り入れであれば、絶対固定金利にすべき」と回答しました。
昨年12月26日のコラムで、日銀が大規模な金融緩和策を修正し、長期金利の変動許容幅を従来の0.25%程度から0.5%に引き上げたことについてコメントしました。
驚きの日銀政策変更 – EK Column (kozuka.blog)
年末年始の海外経済ニュースでは、この日本の中央銀行である日銀の政策変更に関する話題が数多く取り上げられ、金利や為替の専門家は、まさにインタビューに引っ張りだこの状態でした。
長期金利の変動許容幅自体は0.25%の引き上げなので、政策金利を1年で4.25%も引き上げた米国に比べると大ごとではないと思われがちですが、幅としては、0.25%⇒0.5%と2倍になったうえ、世界のマネー供給を超低金利で引き受けている日銀という印象が強いので、引き上げの影響について、様々なコメントが寄せられていました。
日本が超低金利から脱することができないことを支持する専門家は、大きな理由として、 日本の 債務残高を挙げています。
日本の債務残高の対GDP比は約260%に達し、債務の総額は1,000兆円を超えています。そのため、日銀が現在の超低金利を引き上げれば、政府がその巨大な債務の返済に苦労することになるという趣旨です。
これは本当でしょうか?
下記グラフは、以前にも紹介した国債保有者別円グラフです。

1.国債利息を支払う側、受け取る側ともに日本人
図の通り、日本の国債保有者の93%は日本人(法人・個人)です。
国債の金利が上がれば、政府の利息支払い負担は増えますが、利息を受け取るのも、日本国内の投資家です。もし、国が一つの持ち株会社のような存在であれば、利息資金が政府という子会社から民間投資家という子会社へ資金が移動するだけなので、持ち株会社としては、あまり影響がないと言えます。
2.債務(負債・借金)だけがある国なのか?
これも会社に例えるなら、会社は資本金や借入金で調達して(=負債勘定)、設備投資をしたり、手元現預金として残しておいたりします(=資産勘定)。国も同様で、1,000兆円の借金だけではなく、資産もあるのです。米国債だけでも150兆円(※1)、総額630兆円の資産がありますので、差し引きすると、1,000兆円マイナス630兆円=370兆円となり、GDP約550兆円対比、70%前後の水準なのです。日本の債務がGDPの260%というのは、資産を無視した議論であり、債務から資産を差し引きして、本当に負担しなければならないのは、いくらなのか?という議論をすべきと思います。
※1:日本は唯一1兆ドルを超える保有国で、保有額1兆820億ドルで1位。2位中国は8,700億ドル。(2022年10月末時点)
もちろん、長期間のデフレからの脱却は道半ばであり、インフレ率も諸外国に比べればはるかに低い水準に留まっているので、金利が急上昇することはないでしょう。しかしながら、今後、住宅ローンのような超長期の借入を検討しているなら、日銀のインフレ率目標2%より低い固定金利借入(※2)は、間違いなく借りていて良かったといえる借入となるでしょう。
※2:2023年1月現在、35年固定金利は各銀行概ね1.55%~1.95%。
