先週20日火曜、日銀は金融政策決定会合で、大規模な金融緩和策を修正し、長期金利の変動許容幅を従来の0.25%程度から0.5%に引き上げると決めました。
黒田東彦総裁は会合後の記者会見で、今回の修正について「利上げではない」と述べ、「金融緩和の持続性を高めることで物価安定の目標の実現を目指していく」と狙いを説明しました。
正直なところ、金融政策は10年も変わらなかったことから、一般の方のみならず、金融関係の仕事をする方でも、日本の中央銀行である日銀の動向になど、誰も注意を払っていなかったし、そもそも日銀の役割すら、よくわからなくなっていたのではないでしょうか?
このニュースは、ロンドン、ニューヨークなど金融主要都市の経済ニュースでも大きく取り上げられ、為替相場は大きく円高に振れました。
本コラムで引用してきたグラフをご確認ください。
実際には、日米の金利差はそれほど縮小していないにもかかわらず、為替相場は日銀の政策修正のニュースに大きく反応したことがわかります。

日本銀行の役割については、日本銀行のホームページにわかりやすく掲載されていますので、興味ある方は一度ご覧ください。また、金融関係のお仕事をされている方で、もし、お子様がいらっしゃる場合、「お父さん、日銀って何をする銀行?」と聞かれて、モゴモゴしていては少し恥ずかしいので、このコラムを機会に少し、理解しておきましょう。(笑)
日本銀行HP
https://www.boj.or.jp/announcements/education/oshiete/outline/a01.htm/
今回、日銀は下記の役割の中で、大きな方針を修正しました。
“日本銀行は、物価の安定を目的として、金融政策を決定・実行しています。金融政策とは、オペレーション(公開市場操作)などの手段を用い、金融市場における金利や金融機関が貸出を行う際の金利の形成に影響を及ぼすことを通じて、企業や個人の投資・消費行動、ひいてはマクロ的な経済・物価動向に働きかけることです。”
政策を修正した理由としては、この2点を挙げておきます。
1. 物価が上がった大きな要因である、ドル円相場を日本の経済環境に適した水準に戻したかった。
2. 黒田総裁が来年4月で任期満了となることから、次期総裁に柔軟な金融政策をできる地ならしをしておきたかった。
仮に物価高であっても、賃上げにつながれば、家計の圧迫は抑えられるので、今すぐ金利を上げて、物価高を抑える必要は無かったかもしれませんが、賃上げは来年の春闘で5%程度の賃上げが実現できるか、どうかといった水準であり、到底家計の圧迫を吸収できるだけの賃上げは期待できません。
円安で値上がりした電気料金、ガス料金、食品価格等をこれ以上値上がりさせないためには、円安に歯止めをかけ、適正水準に戻す必要があったと言えます。
では、日銀が考えるドル円の適正水準とは、いくらなのか?
日銀短観の12月調査では、2022年度下期の想定ドル円レートは、132.31円になっていました。よって、ドル円レートが1ドル130円台前半で動くことは、企業にとって想定内、もしくは予算内と考えられ、今の水準に落ち着かせたいという意図が働いたと言えるでしょう。


<任期満了に伴う意図>
日本の国債発行額増加により、財政の健全性が損なわれていると言われて久しいのですが、膨大な国債発行を吸収しているのが日銀であります。
下記グラフの通り、約50%を日銀が保有しているのです。
よく、国債発行残高を危惧するメディアや専門家の方々が、日本国債はいずれデフォルトすると主張されますが、対外債務が7%しかない日本国債がデフォルトすることはないと考えた方が良いと思います。
個人を想定すると、このような比較です。
ケース1
「私は500万円の借金が返済できそうもありません。貸しているローン会社(外部負債)への返済が滞っていて、期限の利益を喪失したんです。」→ 私が国であれば、デフォルト
ケース2
「私は500万円の借金が返済できそうもありません。でも、貸してくれているおばあちゃん(内部あるいは身内負債)は、返済はいつでもいいよと言ってくれています」→ 私が国であれば、デフォルトしません。

出所:財務省HP https://www.mof.go.jp/jgbs/reference/appendix/breakdown.pdf
しかしながら、上記の保有者グラフを見て、国債取引に関する市場機能が働いているかと言えば、そうでないことは一目瞭然です。このいびつな保有者構造を少しでも変えていきたい、そのためには任期満了近くで、黒田総裁が汚れ役を買って出たとも言えます。
2023年に向けての今年最後のメッセージ
来年は米国、欧州に加え、日本も景気は悪化、株価下落の年となります。
景気悪化と株価下落を想定して、事業活動、投資行動することを心がけましょう!!
では、良いお年を。
