FedExの業績悪化を注視すべき

読者の皆様は、株式市場にベルウェザー銘柄があるというのをご存じでしょうか?

ベルウェザー(bellwether):元々は、ベル(首鈴)付きの羊という意味で、派生して、先導者、運動や活動の指導者の役割を果たす人、株式市場では、景気先行指標銘柄という意味で使われる単語です。

米国の株式市場におけるベルウェザー銘柄の代表格がFedExです。
FedExは世界最大の航空貨物輸送会社であり、220以上の国と地域にネットワークを有しています。空港ハブシステムによる翌日配送で成長し、航空機は自社で、697機も保有している、まさに世界物流のゴリラカンパニーです。

FedExは世界中に幅広い業種の企業を顧客としているため、特定の地域や国の経済が停滞、もしくは一部の業界の業績が悪化しても、さほど業績に影響を受けることがないことが特徴としてあります。そのFedExが9月15日、第一四半期(今年6月~8月)の決算発表をし、あまりの業績悪化で、投資家は不意を突かれた状態で、株価は15日終値、US$204.87から翌日は21.4%暴落し、US$161.02で取引を終了しました。中小型株であれば、株価が20%以上下落することも、時にはありますが、時価総額が約8兆円ある会社の時価総額が、1日で約20%=1.6兆円失われるということは、極めてインパクトが強い出来事であると言えます。

出所:Yahoo Finance

何が起こっているのか?
世界的な景気減速がFedExの業績に打撃を与えたと考えるべきでしょう。
エネルギー価格、資源価格の上昇で、世界中で物価上昇=インフレ傾向が強まる中、日本を除く、主要各国の中央銀行は軒並み、インフレ鎮静化を目指し、急激に政策金利を上げてきました。

一方で、10月17日のコラムで紹介したように、米国では住宅ローン金利が2倍になりました。
金融市場に混乱か? – kozuka.blog

繰り返しになりますが、
3000万円の住宅ローン残高がある場合、金利3.5%であれば、単純計算すると年105万円の支払い(毎月87,500円の利払い)ですが、金利7%であれば年間210万円(毎月175,000円の利払い)となります。
では、手取りの給与は金利に比例して上げてもらえるでしょうか?
答えはNOです。仮に、毎月、住宅ローン元金と利息で20万円支払っていた家庭が、同様の支払いが毎月30万円になったら、どうすれば良いのでしょうか?
支出を抑えるしか方法はありません。

①  インフレにより家計圧迫 ⇒ ② 金利上昇 ⇒ ③ 金利負担増による支出抑制 ⇒ ④ 物流量の減少 ⇒ ⑤ 在庫増加 ⇒ ⑥ 在庫処分のためのディスカウント競争 ⇒ ⑦ 倒産企業増加 ⇒ ⑧ 景気悪化 ⇒ ⑨ 金利低下

今回のFedExが示した事実は、①~③を経ての、上記の④です。
今後は⑤以降が起こることが予想されます。
また、物流量が減少していることは、FedEx1社に限ったことではないデータも示しておきます。

出所:

このグラフは、ロサンゼルス港における月次輸入量推移です。赤線の今年は、輸入量が極端に低いことがわかります。

コンテナ船の需要減少、FedExの業績悪化、モノの流れは、財務数値より早く兆候が表れますので、読者の皆様も、自分が所属する団体、会社、または投資先のモノの流れがどういう傾向にあるか、これを機会に見直してみてはいかがでしょうか?
何よりも確実なリスクヘッジになるはずです。
もちろん、行動を起こしてください。

私は、先週のコラムで金利差が続く限り円安ドル高傾向は変わらないとお伝えしましたが、その傾向は、米国をはじめとする世界経済の悪化から、意外と早く終わりを迎えるかもしれません。

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