昨日6月28日、スイス富士銀行(会社名は銀行ですが、実際の業務内容は証券業務でした)時代の同僚であり、現在はAlprime CapitalのCEOを務めるIvo Winistoerfer氏が、自宅へ招待してくれました。チューリッヒ市内から車で20分ほど。チューリッヒ湖を見下ろす小高い丘の上に建つ住まいは、自然を愛し、スポーツをこよなく楽しむ彼らしいロケーションでした。
彼と出会ったのは1998年5月。UBSを退職した彼がスイス富士へ転職してきたことがきっかけでした。あれから約30年。数字だけを見ると長い年月ですが、会ってみると、その時間を感じさせないほど自然に会話が始まりました。
私たちは金融市場という非常に緊張感のある世界で一緒に仕事をしていました。当時は毎日が真剣勝負です。マーケットは24時間動き、世界中のニュースに神経を尖らせながら仕事をしていました。
それぞれがその後まったく違う人生を歩みました。
私は日本へ戻り、銀行を辞めて起業し、その後ご縁をいただいて東京衡機の経営に携わることになりました。
一方、Ivoはスイスで投資会社(ヘッジファンド)を立ち上げ、現在はAlprime CapitalのCEOとして活躍しています。
30年も経てば、仕事も肩書きも環境も大きく変わります。しかし、不思議なことに、人との信頼関係というものは意外と変わらないものです。
今回の夕食も、まるで家族を迎えるかのようにもてなしてくれました。
メニューは、絶妙な火加減で仕上げたマグロのレア焼きに、二種類のパスタ。そしてデザートには、マスカルポーネにヨーグルトとブルーベリージャムを合わせた手作りの一品。どれも本当に美味しく、料理そのものはもちろん、「楽しんでもらいたい」という気持ちが伝わってきました。
「料理は私も手伝うよ」と事前に伝えていたこともあり、マグロのレア焼きの下ごしらえを手伝ったり、パスタソースの仕上がり具合を味見したりしながら、一緒にキッチンに立つ時間もまた、楽しいひとときとなりました。

さらに驚いたのは、ご自宅のすぐ近くにある森の散歩道です。
湖を見下ろすバルコニーからは、バルコニーでワインを楽しむ人、丘の上を歩く人、犬の散歩をする人、自転車で走る人など、多くの人が思い思いの休日の夕暮れ時を過ごしていました。

以前、このブログで「豊かさとは何か」について書いたことがあります。
年収や資産、肩書きももちろん人生の一部です。しかし、本当の豊かさとは、自分が心地よいと思える場所があり、一緒に時間を過ごしたいと思える人がいて、健康に、笑顔で過ごせることなのではないか、と改めて感じました。
私は銀行を辞めて独立した当時、多くの人との付き合いが一気になくなりました。肩書きがなくなった瞬間に離れていった人も少なくありません。
だからこそ、30年経った今でもこうして自宅へ招いてくれる友人がいることが、どれほどありがたいことかを実感しています。
人生には、お金で買えるものもあれば、お金では決して買えないものもあります。
信頼や友情も、その代表ではないでしょうか。
どれほどAIが発達し、働き方が変わり、社会の仕組みが変化しても、人と人との信頼関係だけは、最後まで残る財産です。
若い頃は、仕事で成果を上げることばかり考えていました。しかし60代になった今、人生を振り返ると、本当に価値があったのは「どんな仕事をしたか」だけではなく、「誰と一緒に歩んできたか」だったように思います。
30年前にスイスで出会った一人の友人との再会は、そのことを改めて私に教えてくれました。
人生で積み重ねるべきものは、肩書きや資産だけではありません。
人とのご縁を大切にし、その信頼を少しずつ積み重ねていくこと。
それこそが、年月が経つほど価値を増していく、本当の人生の資産なのだと思います。



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