今月13日土曜日、私は日産スタジアムでback numberのライブに行ってきました。
back numberのライブは、2023年の東京ドーム公演「in your humor tour」以来でしたが、今回改めて圧倒されたのは、その規模の大きさです。
約7万人。
一つのライブにこれだけ多くの人が集まり、同じ時間を共有する。その光景を見ているだけでも、彼らが長年にわたり、多くの人の心を動かしてきたことが伝わってきました。
ライブの途中、ボーカル・ギターの清水依与吏さんが、地元群馬への思いや、ご両親が来場されていること、そして苦しかった時代について語ってくれました。
録音は禁止されていましたので、以下は私の記憶の中の言葉ですが、おおよそこのような内容だったと思います。
「いいライブができないなら辞めてしまえばいい。今日は昨日よりもいいライブをしたい。来てくれた人の心に何かを残したい。そんな気持ちでずっとやってきた。」
そして、曲が思うように書けなかった時期の話になりました。
ストレスで蕁麻疹が出て、病院へ行ったところ、
「少し休んだ方がいいですよ」
と言われたそうです。
しかし、その時の清水さんは、
「自分のような普通の人間が休んでいたら、いい曲なんて書けるわけがない」
と思ったそうです。
私はこの言葉に強く心を打たれました。
世の中では、成功した人を見ると、
「あの人は才能があったから」
「あの人は特別な人だから」
と言われることがあります。
しかし、本当に結果を出している人ほど、自分を特別な存在だと思っていないように感じます。
むしろ、
「自分は普通の人間だから、人より努力しなければならない」
そう考えている人が多いのではないでしょうか。
実は、清水さんの話を聞きながら、25年前の自分自身のことを思い出していました。
私が銀行を退職し、独立したのは今から25年前です。
現在のようにスタートアップという言葉が一般的ではなく、起業や独立に対する社会の理解も、今ほど高くありませんでした。
それまで私は大手銀行(現みずほ銀行)に勤めていました。
当然ながら、その肩書きや信用の恩恵も受けていたと思います。
ところが、銀行を辞めた途端、景色が一変しました。
まるで潮が引くように、それまで会ってくれていた人たちが離れていったのです。
電話をしても会ってもらえない。
提案しても話を聞いてもらえない。
銀行員時代には感じたことのない現実を突きつけられました。
収入もなく、無給で事業を続けていた時期も2年くらいありました。
将来の見通しが立っていたわけではありません。
不安もありました。
焦りもありました。
しかし、休んだからといって状況が良くなるわけでもありません。
自分のような普通の人間が立ち止まっていたら、成功などできるはずがない。
そんな思いで、毎日を過ごしていたように思います。
もちろん、今振り返れば遠回りもしました。
失敗も数え切れないほど経験しました。
それでも、あの時に諦めなかったことだけは良かったと思っています。
私はこれまで銀行員として、そして経営者として、多くの成功者と呼ばれる人たちにお会いしてきました。
創業経営者、上場企業の社長、事業を急成長させた起業家。
そうした方々には、共通していることがあります。
それは、誰もが苦しい時期を経験していることです。
資金繰りに苦しんだ時期。
顧客が全く増えなかった時期。
周囲から反対された時期。
誰にも理解されなかった時期。
順風満帆だった人は、ほとんどいません。
そして、その苦しい時期を乗り越えた人だけが、次の景色を見ることができています。
私は若い社員にもよく話します。
仕事は、必ずしも最初から楽しいものではありません。
成果が出ない時期もあります。
努力が報われないように感じる時期もあります。
しかし、その時に、
「自分には才能がない」
と考えるのか、
「今は成長するための時間だ」
と考えるのかで、その後の人生は大きく変わります。
結局のところ、大きな差を生むのは才能ではなく継続です。
もう一回やってみる。
もう一日考えてみる。
もう一社訪問してみる。
もう一本電話してみる。
その積み重ねが、やがて大きな差になります。
7万人を動員するアーティストになったback numberも、最初から特別な存在だったわけではなかったのです。
曲が書けず、蕁麻疹が出るほど苦しみながらも、目の前の一曲に向き合い続けた。
だからこそ、今があるのだと思います。
何かを成し遂げるためには、避けて通れない時期があります。
結果が出ない時期。
自信を失う時期。
孤独を感じる時期。
しかし、その先には必ず新しい景色があります。
才能の差は確かにあります。
環境の差もあります。
それでも最後に差がつくのは、「続ける覚悟」の差なのだと思います。
日産スタジアムを埋め尽くした7万人の歓声を聞きながら、私はそんなことを考えていました。

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