──まず読むなら、この3冊を勧めたい
前回のコラムで、私は新社会人の皆さんに「何を学ぶべきか迷ったら、まず良書を読んでほしい」と書きました。
タクシーの運転手さんに「29歳ですが、何を勉強したらよいと思いますか」と聞かれ、私は、デール・カーネギーや松下幸之助のような、ビジネス書の古典を読むことを勧めました。
では、実際に最初の一冊として何を読めばいいのか。
今回は、私なりに「まず読むならこの3冊」という本を紹介したいと思います。
前回のコラムはこちら:新社会人の皆さんへ – kozuka.blog
1冊目
『人を動かす』 デール・カーネギー
これは、ビジネス書というより、人間関係の教科書と言ってよい本です。
人はどうすれば相手に好かれるのか。どうすれば信頼されるのか。どうすれば反感を買わずに相手に影響を与えられるのか。そうしたことが、非常に分かりやすく書かれています。
仕事は一人ではできません。
どれほど能力があっても、人に嫌われ、協力を得られなければ、長く成果を出すことは難しい。逆に、特別に口がうまくなくても、相手の立場を理解し、気持ちよく仕事ができる人は、周囲から応援されます。
若い人の中には、「人に好かれる」と聞くと、迎合することのように感じる人もいるかもしれません。
しかし、この本が教えているのは、そういう表面的な処世術ではありません。
相手の立場に立って考えること、承認欲求を理解すること、批判よりも理解から入ること。つまり、人間を動かす前に、人間を理解することの大切さです。
社会人になったばかりの時期は、仕事の知識以前に、人との接し方でつまずくことが少なくありません。
だからこそ、最初にこの本を読む価値は大きいと思います。

2冊目
『人生心得帖』 松下幸之助
松下幸之助さんの本は何冊もありますが、その中でも私はこの本が好きです。
大上段に構えた経営論ではなく、もっと根本的な、人としてどう生きるか、どう仕事と向き合うかが語られているからです。
仕事をしていると、うまくいくことばかりではありません。
努力がすぐ報われるとも限らない。理不尽なこともある。人間関係に悩むこともある。
そんなとき、人は知識やスキルだけでは踏ん張れません。最後にものを言うのは、ものの見方や考え方です。
松下幸之助さんの言葉には、派手さはありません。
しかし、だからこそ強く、深い。
素直さ、感謝、謙虚さ、責任感、そして自分の運命を引き受ける覚悟。
社会人として長くやっていくうえで、土台になるものが詰まっています。
私は、若い時期ほど、こういう本を読んでほしいと思います。
なぜなら、若いうちはどうしても目先の評価や損得に心が動きやすいからです。
そのときに、自分を支える軸があるかどうかで、その後の成長は大きく変わります。

3冊目
『「原因」と「結果」の法則』 ジェームズ・アレン
この本は、とても短い本です。
しかし、短いからといって軽い本ではありません。むしろ、短い中に本質が凝縮されています。
この本が語っているのは、非常にシンプルです。
人は、その人が日々抱いている思考によって、人生を形づくっていく。
つまり、今の結果には原因があり、その原因の多くは、自分自身の日々の考え方や習慣の中にある、ということです。
これは厳しい考え方でもあります。
人はつい、環境のせい、上司のせい、会社のせい、時代のせいにしたくなります。もちろん、環境要因はあります。理不尽なこともあります。
しかし、それでもなお、自分の内側に原因を探す人と、外側にばかり原因を求める人とでは、長い目で見て差がつきます。
新社会人の時期は、失敗も多いし、落ち込むこともあります。
けれど、その一つひとつを他責で終わらせるのではなく、「自分に変えられることは何か」と考える習慣を持てるかどうか。それが成長の分かれ道になります。
この本は、そのことを静かに、しかし鋭く教えてくれます。
実際、私自身も問題の解決策を外部や他人に頼るのではなく、解決策は必ず我の中にありと実感できるようになったのは、50歳を過ぎてからでした。

まずは1冊、できれば3冊
この3冊は、それぞれ少しずつ役割が違います。
『人を動かす』は、人間関係の基本。
『人生心得帖』は、生き方と仕事観の土台。
『「原因」と「結果」の法則』は、自分の内面を鍛える本。
どれから読んでもよいと思いますが、もし新社会人に1冊だけ勧めるなら、私はまず『人を動かす』を挙げるかもしれません。
なぜなら、社会に出るとまず最初に試されるのは、能力そのものよりも、人との関わり方だからです。
ただ、本当に大切なのは、どの本を読むか以上に、読む習慣を身につけることです。
1カ月に1冊でもいい。
年間で12冊読めば、3年で36冊です。
その積み重ねは、確実にその人の言葉を変え、ものの見方を変え、判断を変えていきます。
数千円で買える一冊の本が、何年分もの遠回りを防いでくれることがあります。
良書を買うほど、安い投資はありません。
新社会人の皆さん、何を学ぶべきか迷ったら、まずはこの3冊の中から一冊、手に取ってみてください。
その一冊が、皆さんの仕事人生の土台になることは間違いありません。
私自身もまだまだ未熟者なので、共に学んでいきましょう。

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