昨年11月、暗号通貨取引所の中でも最も評判の良い取引所の1つとされていたFTXが経営破綻し、暗号資産プラットフォームや暗号資産システムに対する懐疑派が暗号資産に対して猛烈な批判を浴びせていましたが、3カ月が経ち、少し落ち着きを取り戻しているようです。
この期間で、私が注目したのは、FTX経営破綻の約1カ月後、2022年12月13日にGoldman Sachsが Top of Mindという業界を洞察するコンテンツでリリースしたレポートです。
その中でインタビューに応じた、デジタル資産の専門家であるMarcel Kasumovich(マルセル・キャスモビッチ)氏が、FTXの破綻についてクリアーに回答しているので、紹介します。
Goldman Sachs:最近のFTXの破綻の原因は何だったのでしょうか?
Marcel Kasumovich: FTXの整理を任された破産専門家のJohn Rayは、最高の言葉を残しています。「前例のない、完全な企業統制の失敗だ」。これはエンロン社の整理を監督したジョン・レイと同じ発言です。
FTXの破綻は、デジタル資産の問題ではなく、人間の行動に起因しています。無能も一役買ったかもしれないが、FTXの破綻の根本原因は詐欺行為でした。重要なのは、基礎となる技術が失敗したのではない、ということです。暗号資産エコシステムが構築されているイーサリアムとビットコインのベースレイヤーは、いずれも滞りなく運用されてきました。11月前半の最も不安定な日でも、何十億ドルもの取引が毎日決済されており、第三者の仲介はありません。ビットコインは今年、100億ドル近くを採掘者に支払う勢いです。デジタル資産価格が急落しても、この技術は驚くほど回復力があることが証明されています。
下記グラフは昨年11月以降のビットコイン価格です。

FTX経営破綻後、約17,000ドル近辺で推移していましたが、実は直近では30%も価格を戻しているのです。
Marcel Kasumovich氏が指摘した、“重要なのは、基礎となる技術が失敗したのではない”
“デジタル資産価格が急落しても、この技術は驚くほど回復力があることが証明されています。”
という発言を裏付ける値動きとなっています。
参考までにビットコインの過去10年間の価格推移を紹介します。

ビットコインは大きな事件がありながら、その教訓を糧にインフラが整備され、当局の規制が少しずつ整ってきたことから、必ず事件後には事件前の高値をクリアーするという歴史を繰り返しています。
私は2015年頃、ビットコインの存在を知り、その後も常に関心のある投資対象であり、事業であります。
FTXの危機が、株式市場や為替市場へ波及しなかったのは、規制当局が暗号通貨をドルや円のような伝統的な金融システムから隔離したからではなく、ブロックチェーン技術自体が今のところ、既存の金融システムと相互運用していないからだと思います。
しかし、その相互運用していない点は、近い将来変化すると思っています。ブロックチェーンは国際的な決済システムに影響を与えるでしょう。現在、国際決済に使われているSWIFT、コルレス銀行ネットワークは極めて非効率的であり、ブロックチェーン技術はそれを大幅に改善できるテクノロジーです。飛び切り優秀なエンジニアが、インターネットと同じように、ブロックチェーン同士が会話する方法を考案すれば、実現に向けて大きく前進します。
ネガティブな雰囲気がまん延している市場こそ、真剣に投資を検討すべき市場です。
