今年の最大の出来事は、私の中では断トツ、ロシアによるウクライナ侵攻でした。まさか、局地的な民族間の闘争ではなく、国家規模の闘争=戦争が21世紀に起こることは、誰しも想定外だったと言えます。
結果として、世界経済に何が起こったのか?
この問いに、簡潔に答えているレポートがありますので、簡単に紹介したいと思います。
“地政学的な緊張を背景に、世界貿易による共通の経済的利益よりも国家安全保障上の懸念と戦略的競争に重きが置かれる可能性が高まった。
各国が相互に依存していることを踏まえると、そのような可能性が実現した場合、非常にコストがかかることとなる。アジアにおいては特に言えることだ。例えば、米国は輸入の約半分、そして欧州は輸入の約3分の1がアジアからである。そして、アジア諸国は、主要な一次産品に対する世界の需要のほぼ半分を占めている。”
上記をわかりやすく置き換えると、
“ロシアによるウクライナ侵攻や、台湾を巡る米国、中国の争いは、自国の国家安全保障を優先するため、経済的な損失が大きい。実際に、世界の工場である中国の輸出量が減れば、モノが減り、モノの価格が上がり、またロシアが欧州へのガス供給を減らしたことで、天然資源価格が高騰し、結果として、米国、欧州をはじめ、世界的なインフレとなった”
貿易の不確実性を示す下記のグラフでは、傾向が顕著に表れています。

英国のEU離脱(ブレグジット)、トランプ大統領就任を契機に、貿易の不確実性が急速に高まっていることがわかります。
では、世界の分断化が進んで、悪いことばかりかと言うと、そうでもないかもしれません。
なぜなら、2023年は、米国、欧州は、今年、急速に政策金利を上げたことから、その反動で、景気悪化は避けられない状況にあり、すでにソフトランディング(※)は難しいと見ているファンドマネージャー、経済アナリストなど専門家も少なくありません。
※ 軟着陸。景気の著しい減退を避けつつ、景気を穏やかに減速させること。
グローバル経済の元では、グローバル経済の主役(米国、中国、欧州)のいずれかの経済や金融システムが崩壊すると、幅広くその影響が波及しますが、分断化された経済では、その影響が限定的になります。
前述した通り、私も米国と欧州の景気悪化は避けられず、各中央銀行が目指しているソフトランディングは難しいと考える派です。賃金上昇が顕著な米国であっても、1年で住宅ローン金利が2倍以上になったうえ、インフレ率が10%近くもある中で、一般消費者が正常な消費活動ができるとは考えにくいからです。
では、誰がモノを買ってくれるのか?
今月8日、米国大手コンサルティング会社、マッキンゼー・アンド・カンパニーは2023年の中国消費に関すレポートで、消費は回復に転じるという予測を発表しました。https://www.mckinsey.com/cn/~/media/mckinsey/locations/asia/greater%20china/our%20insights/2023%20mckinsey%20china%20consumer%20report%20a%20time%20of%20resilience/2023%20mckinsey%20china%20consumer%20report%20en.pdf
ポイントは下記の通り。
トレンド1:中産階級が引き続き拡大。2019-21年には、年収が16万元(約320万円:1元は約19.6円)以上の中国の都市部世帯の複合年間成長率(CAGR)は18%に達して、9900万世帯から1億3800万世帯に増えた。25年には2億世帯がこのゾーンに入ることが予想され、中国の消費市場に非常に大きな潜在力がある。

世帯収入が320万円以上の世帯が2億世帯に向かっていることは、消費の下支え効果があることは言うまでもありません。
トレンド2:高級志向の流れが持続。高所得層では、「2022年の消費は昨年を上回った」と答えた人が26%に上り、「22年は消費を減らした」は14%にとどまった。

高級品を買える富裕層の消費が堅調であることは、引き続き、消費を力強く牽引していくことは間違いありません。
よって、来年2023年の投資、ビジネス環境は、米国、欧州の景気悪化を、中国消費がどこまで下支えするかが主要テーマとなりそうです。
