先週21日金曜、一時1ドル=151円90銭台となり、32年ぶりの安値を更新しました。
21日、ニューヨーク外国為替市場(日本時間夜間)で、政府・日銀が円買い・ドル売りの為替介入に踏み切ったことから、一時1ドル=144円台までわずか1時間ほどで7円程度戻しましたたが、介入後の急変動の一巡後は円売りも出て、147円台後半で取引を終えました。
政府・日銀が円買い・ドル売り介入をしても、円安トレンドを変えることはできないことについて、9月26日のコラムで紹介した、同じグラフを用いて解説したいと思います。
グラフ1:日本と米国の2年物国債の金利差とドル円相場の推移です。

前回のコラムでは過去3年を掲載しましたが、今回は過去2年のデータを作成しました。
グラフ2:相関関係を分析する回帰分析グラフ

前回の復習になりますが、大きく相関関係は3パターンです。
1) Aの値が大きくなったら、Bの値も大きくなる=正の相関関係
2) Aの値が大きくなったら、Bの値が小さくなる=負の相関関係
3) Aの値が大きくなっても、小さくなっても、Bの値には影響がない=相関関係がない
グラフ2は、ピンク色の日米の金利差が大きくなればなるほど、紺色のドル円レートが上がるという、正の相関関係があることがわかります。
今回はエクセルの分析ツールを使って、データの有意性も確認してみました。
結果は下記の通りです。
回帰統計
重相関 R 0.97866546
重決定 R2 0.957786082
補正 R2 0.95737222
標準誤差 0.27585454
観測数 104
「重決定R2」は決定係数と呼ばれ、回帰直線全体の当てはまりの良さを表しています。
決定係数は0から1までの範囲を取り、1に近いほど回帰直線の当てはまりが良いことを示しています。
グラフ2では、決定係数が0.9を超えているので、散布図から引いた直線の当てはまりが非常良いことを示しています。
結論:
今回の円安の要因は、日米の金利差が大きな要因であるため、金利差が縮小しない限り、いくら政府・日銀が円買い・ドル売り介入をしても、一時的な時間稼ぎにしかなりません。
日本の景気が良くなり、日本への投資価値があがり、より多くの海外投資家、海外企業が日本円を買う必然性を創出しない限り、諸外国から見て、円に対する評価は、相対的に低い状態が続くと考えるのが妥当でしょう。
昨年9月、岸田首相は自民党総裁選挙で、「中間層の拡大に向けて分配機能を強化し、所得を広げる。令和版の所得倍増をめざす」ことを主要政策として掲げ、岸田内閣が発足しましたが、1年経った今、所得が上がらないばかりか、円安、物価高により、家計の支出が増え、岸田政権の支持率低下につながっています。
ドル円が32年ぶりの水準と聞いて、日本人の年収が30年前と変わらないことも想起されます。国税庁の統計によれば、1990年(平成2年)の平均年収は、425万円だったのに対し、2020年(令和2年)の平均年収は433万円です。
日経新聞に掲載された、“円150円、円安招いた「日本病」 賃金低迷・低成長のツケ 1ドル=150円の警告”は一読に値するものです。
失われた30年は過去の事象なので、どうすることもできません。しかしながら、100年単位で歴史を考察すると、決して悲観することはありません。
夜道を歩いて、いきなり刀で切りつけられることはありませんし、戦時中のように問答無用で戦地に動員されることもありません。ましてや、特攻隊のように片道の燃料と攻撃する爆弾を積んで、飛行機に乗せられることもありません。日本では飢餓で命を落とす人はほとんどいなくなりました。
2030年代、2040年代をより明るい時代にするには、今何をすべきか、真剣に考えようではありませんか?
