国葬を考える

先週9月27日、安倍晋三元首相の国葬が本武道館(東京・千代田)で行われました。
国葬は多額な費用がかかることや、安倍氏銃撃事件の原因となっている、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と政治家特に自民党議員との関係に関する調査が不十分だということから、国内世論は反対論が強まる中での、国葬となりました。

1. 国葬に賛成か反対か?
私は、国葬には賛成です。
理由としては、海外の要人から多数の弔辞が寄せられたことから、全額を国費で負担する国葬を開催することで、海外の弔問団を受け入れやすくなる点に尽きると思います。もし、海外からの弔問が少ないようであれば、一部を国費から負担する国民葬や、内閣、自民党が共催し、国からは支出が少ない合同葬で良いと思います。
8月31日、岸田首相は会見で、国葬に閣議決定した理由について、以下の4点を示しました。
①8年8ヶ月間首相を務めた
②民主主義の根幹である選挙演説中に銃撃された
③外交、経済など歴史に残る業績を残した
④世界各国から敬意と弔意が示され多数の弔問の希望が来ている

日本は生活に欠かせない食料とエネルギーの自給率が低い国であり、諸外国との協力やパートナーシップが欠かせない国であります。国葬により、諸外国から弔問団を受け入れ、外交や貿易交渉に活かしていくことは、極めて重要であると考えます。

グラフ1. 食料自給率(カロリーベース):2021年度38%

(出所:農林水産省)

グラフ2. エネルギー自給率:12.1%

(出所:経済産業省資源エネルギー庁)
2. 政治家が対処すべきお金の単位

2022年上半期の貿易統計(速報)では、輸入が原油価格の値上がりから、前年同期比37.9%増え、約54兆円となり、2022年通年では100兆円を超えることが予想されています。
要するに、日本は海外から100兆円もエネルギーや食料を購入しなければ生活できない、輸入依存症なのです。

  • 数億円~10億円単位は、中小企業の仕事
  • 100億円~1000億円単位は、上場企業はじめとする大企業、リーディングカンパニーの仕事
  • 兆円単位は、まさに政治家でなければできない仕事です。

① 国民の安全を守る、防衛含む外交
② 国民の健康と命を守る社会保障
③ 将来の国を豊にするための少子化対策
④ 次世代の人材を育成する教育

これらは全て兆円単位の仕事なので、政治家が取り扱うべき、取り組んでもらいたい仕事と言えます。

2018年、安倍政権時に発効したTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)は、経済メリットの見込みが10年で2.7兆円という試算だったことから、反対派も多かったと記憶していますが、これも、何もせず、批判だけする政治家よりは、よほど政治家として立派な仕事(まさに兆円単位の仕事)をされたと思っています。

兆円単位の利をもたらす交渉が成立するなら、国葬費用は極めて投資リターンの高い投資と言えるのではないでしょうか?

3. 安倍元首相の功績

「全人類は今や単一の文明を構成しており、すべての人が共通の難題と機会を分かち合っている。それにもかかわらず、イギリス人、アメリカ人、ロシア人をはじめ、無数の集団がナショナリズムに基づく孤立をしだいに支持するようになっている。これは、私たちのグローバルな世界が抱える前例のない問題の数々の解決策にありうるだろうか?」
(「21 Lessons」ユヴァル・ノア・ハラリ著・Chapter7 ナショナリズムから引用)
 
イギリス ⇒ EU離脱
アメリカ ⇒ トランプ政権誕生後とその余波
ロシア  ⇒ ウクライナ侵攻
イタリア ⇒ 右派政権誕生

自国優先の政権が増える中、安倍元首相は、

  • 安全保障会議設置法により、国民を守る枠組みを作りつつ、
  • Quad (Quadrilateral Security Dialogue) 日本、米国、オーストラリア、インドの4カ国による外交・安全保障の協力体制構築に中心的な役割を担い
  • TPP(Trans-Pacific Partnership Agreement環太平洋パートナーシップ協定)により、グローバルにバランスの取れた協定を発効したこと
    は、グローバル化とナショナリズムに揺れる混沌とした21世紀においては、常にグローバル化と安全保障に基づく平和追及を、信念を持って推進したことは、国葬にふさわしい政治家であったと言えるのではないでしょうか?

合掌

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