円安は続くのか?

私は為替相場については、残念ながらほぼ素人ですが、私の後輩や長年付き合っている方は、私が金融商品の売買をして収益を上げるトレーダー、自己勘定ファンドマネージャー業務に10年以上従事していたことを知っているため、「この円安はいつまで続くのでしょうか?」とか、「そろそろ円高に向かいますかね?」とか、よく聞いてきます。

そこで、最近の為替相場や今後の動向について、私なりに解説したいと思います。

1. 円高?円安?うーん。

まず、円安、円高、ドル高、ドル安について、意外と「え、どっちだっけ」と考えてしまい、大人になっても、実はよくわかっていないという方にわかりやすい覚え方を説明します。

私たちは日本人なので、円を中心に考えます。
円安、円高というと、一見、1ドル130円が、1ドル140円になると、円レートが上がっているから、円高と思ってしまいがちです。そこで、円と“安い”、“高い”の間に、価値という単語を入れてみましょう。
円の価値が安い、円の価値が高い、という風に。

すると、例えば、“私が大好きな1本10ドルのカリフォルニアワイン”は、
昨年1ドル110円の時は、
10ドル×110円=1,100円でした。

でも、今は1ドル145円なので、
10ドル×145=1,450円です。

要するに、日本円の価値が下がったから、よりたくさんの円を払わないと、同じワインが買えないということになります。
ですから、円安なんです。

一方、アメリカ人が日本に観光にきて、マクドナルドで390円のビッグマックを買う場面を見てみましょう。
昨年は1ドル110円なので、
390円÷110円=3.54ドルでした。

でも、今は1ドル145円なので、
390円÷145円=2.68ドルです。

昨年は、日本で3.54ドルしたビッグマックは、今は2.68ドルで買えます。ドルの価値が上がって、少ないドルで同じものが買えるので、随分安いなあと言うでしょう。

2. お金の性質を理解する
お金は金利や利回りが高い方に流れ、税金はより安いほうに流れるという性質があります。
お金の保有者は、個人であれ、法人であれ、最終的には人、あるいは意思決定をゆだねられた、判断する人に行き着くので、人の欲が反映されます。
すなわち、より手元のお金を増やしたいという願望です。
ですから、金利が高いと利息収入が増えますし、税金が安ければ手元現預金が減らないので、お金は金利が高い方へ、税金が安い方へ流れるとご理解ください。

下記グラフは、日本と米国の2年物国債の金利差とドル円相場の推移です。
(左縦軸が金利差、右縦軸がドル円為替レート)

ピンク色線の金利差が上昇する(金利が広がる)とともに、青色線のドル円レートが円安ドル高に推移していることがわかります。
2020年春から2021年秋頃までは、米国もコロナ対策で経済を活性化させるため、低金利を維持していたため、金利差は0.5%を切る水準で推移し、為替レートとも同期間は概ね105円~110円で安定して推移していました。
しかしながら、米国内でインフレが顕在化したため、今年に入り、FRB(連邦準備銀行)が政策金利を上げ始めると、金利差が一気に広がり、今年2月、金利差が1.5%を超え始めた途端、ドル円レートは115円を突き抜け、金利差が拡大すればするほど、ドル高円安が進む事態となりました。

3. 相関関係をグラフで見る
下記グラフは、相関関係を分析する際によく用いられる回帰分析です。

1) Aの値が大きくなったら、Bの値も大きくなる=正の相関関係
2) Aの値が大きくなったら、Bの値が小さくなる=負の相関関係
3) Aの値が大きくなっても、小さくなっても、Bの値には影響がない=相関関係がない

下記は縦軸がドル円レート、横軸が金利差で、正の相関関係があることがわかります。
バラつきはあるものの、金利差が2.5%を超えるとほぼ並行してドル円レートが上昇(ドル高)していることがわかります。

2019年9月からの約3年間における、金利差とドル円レートの相関関係を示す相関係数は0.869と高い数値になっています。(概ね相関係数は0.7以上あれば、相関関係があると言えます)
さらに、回帰分析の当てはまり具合を示す、決定係数(=相関係数の2乗)もグラフR2にある通り、0.7548となっており、グラフは一定の説得力があると言えます。

4. いつまで円安が続くのか?

金利差が縮まる傾向にならない限り、円安傾向は続くとみるべきでしょう。

では、日米の金利差が縮まるには、どのようなことが起こる時か?
① 日本銀行が利上げをして、米国との金利差が縮まる
② 日本の金利は超低金利のまま、米国の景気後退により、FRBが政策金利を引き下げる

日本は賃金が上がらず、景気が上向かない中での物価上昇なので、金利を上げる要因はないうえ、莫大な国債発行額(金利を上げると国債の利率を上げることになり、利払い負担が増える)を勘案すると、上記②のシナリオの発生確率が高いと言えます。

上記回帰分析グラフにおける赤点線が理論上の数値なので、若干円安過ぎるように見えますが、日米2年物国債金利差が3.5%を超える水準では1ドル135円~150円程度が妥当な水準と言えるのではないでしょうか?

archives

  • 2026 (37)
  • 2025 (52)
  • 2024 (51)
  • 2023 (47)
  • 2022 (52)
  • 2021 (60)

Latest Posts


投稿日

カテゴリー:

投稿者:

タグ:

kozuka.blogをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む