旧統一教会問題を機に信仰、宗教について考える

安倍晋三元首相の銃撃事件を契機に、世界平和統一家庭連合(以下「旧統一教会」)と政治家に関するニュースが毎日クローズアップされ、政治家、宗教家、学者など専門家の方々が様々な意見を発信しています。本日のコラムでは、「政教分離」や「信仰の自由」について、この機会に考えてみたいと思います。

まずは、憲法の条文をおさらいしてみましょう。

“憲法 第二十条
信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
② 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
③ 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。“

単純に思想と政治であれば、分離することは簡単ですが、お金が絡むとなかなか難しい問題に発展します。
旧統一教会と政治家は、利害関係が一致しているから、密接に結びついたと言えます。

  • 旧統一教会側の目的:お金はあるが、社会的信用が足りないので、政治家に献金や選挙応援(票集めや選挙活動ボランティア)をすることで、政治家を選挙に当選させる。サポートした政治家が国政に参加すれば、間接的に政治的権力を得ることができる。=社会的信用力アップ
  • 政治家の目的:資金集め。選挙はとにかくお金がかかる。今年7月参議院選挙が行われましたが、6月23日公示、7月10日投票なので、17日間の選挙戦ですが、供託金、選挙運動費用(人件費、後援会事務所代、印刷代等)を合わせると、参議院選挙や衆議院選挙のような国政選挙の場合、2500万円から5000万円かかると言われています。一般の給与所得者が、住宅ローンを組んで購入する、戸建てやマンションと同じくらいの金額を、たった1か月で使ってしまうわけですから、当選、落選はまさに天国と地獄と言えます。人間誰しも地獄に行きたい人はいないので、天国への切符=お金を手に入れようと必死になるわけです。
    日本だけではなく米国も同様です。

一方、先週8月31日(火)、岸田文雄首相(自民党総裁)は記者会見で、「党と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係を絶つ」と表明しました。この表現ですと、旧統一教会の信者は自民党に関与する仕事をすることができないとも解釈できます。

悪霊商法や多額の献金を迫るようなことをしていない信者さんの場合、この「旧統一教会排除」とも受け取れる発言は、職を失うことにもなりかねませんので、慎重に、“どのような場合は”、とか“こういう活動をしている場合”というような、但し書きが必要な気がしますが、読者の皆さんはどのように思われていますでしょうか?

思想、信仰と職業に関しては、有名な裁判事例がありますので、簡単に紹介しておきます。
法学部出身の方であれば、一度は目にしたことがある「三菱樹脂事件」裁判です。

三菱樹脂事件は、三菱樹脂(被告)が、故・高野達男氏(原告)を管理職要員として、3カ月間の試用期間を設けて採用し、1963年6月25日、原告が学生運動に加担した経歴があることを理由に、原告に対し口頭で本採用拒否の意思表示をした事件です。
かなり端折って説明しますと、企業側(被告・三菱樹脂)は、過激な学生運動に加担したことを知らされず、採用させられたといい、原告は究極的には思想、信条で採用可否を判断することは、

“憲法 第十四条 
すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。“

に、違反していると主張し、争われました。

1967年7月17日、東京地裁の結論
「原告が生協活動をなしたのは東北大学在学中の全学年にわたった一方、学生運動に参加したのは、その第二学年在学の前後に限られていて、その後に及んだ事迹のみるべきものはない(それは学生運動に対する関心が薄れたことによらないとも限らない。)のであるから、原告の生協活動が違法な、もしくは不当な事業に属するものであれば格別、また原告の学生運動が、その後も継続されたことを疑うに足りる事情があつたのであれば格別、さもない限り、管理職に要求される資格につき消極的資料とするに足りないものと考えるのが相当である。したがつて、会社が前記資料だけで原告の適性を否定したのは早計にすぎ、にわかに首肯し得るものではない。」

要するに学生運動そのものがダメと言っているのではなく、違法行為、公序良俗に反する行為はダメだが、思想、信条は自由なので、原告の主張を全面的に支持しています。

今回の旧統一教会も同様に考えたらどうでしょうか?
どのような信仰、思想を持つことも自由であるが、違法行為は認めません、そして“宗教活動の中で、信者や檀家に対して、団体や団体関係者が、収入や資産に比べて明らかな多額の献金を強いることは違法行為なので、個人もしくは団体は罰せられます”とすれば良いのではないかと思います。

社会で起こる事件や出来事は、私たちに考える習慣を付けてくれる材料を提供してくれています。
毎日目にする暗いニュースも、実は将来をより良いものにするために役立っていると考えると、少しは明るく見えてきませんか?

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