日本は国全体で見ると、個人、企業とも投資活動が活発とは言えません。このことが、どこに行きつくか?と言えば、
日本経済は徐々に衰退していくので、長期的に見て、税収は増えない。
よって、
・将来、年金をもらえないのではないか?
・医療費負担が増えるのが心配
だから、極力余ったお金は手元現預金で保管しておこう。
という行動になりがちです。
結果、このようになっています。
<日本の金融資産構成>

出所:日本銀行調査統計局「資金循環の日米欧比較」より抜粋
https://www.boj.or.jp/statistics/sj/sjhiq.pdf
日本の家計の金融資産構成は、実に54.3%が現預金です。金融資産全体額が1,946兆円なので、1,057兆円が現預金です。
一方、米国は現預金が非常に少なく、13.3%、欧州圏は日本と米国の中間で約34.3%です。
日本はいかに現預金比率が高い国かがわかります。
では、財政という視点から見る時に参考にしたい制度があります。私が3年間生活をしたスイスの税制です。
<スイス富裕税の概要>
スイスに居住する個人は、原則として全世界の資産に対して富裕税が課されます(無制限富裕税)。国=連邦が課税するのではなく、地方自治体=州が富裕税を課税します。
参考URL: https://www.wealthandpolicy.com/wp/BP133_Countries_Switzerland.pdf
原則として、すべての種類の資産が富裕税課税の対象となります。したがって、個人住宅を含む不動産、民間企業の株式を含むあらゆる種類の有価証券、その他、美術品、宝飾品、自動車などの動産は、州の富裕税の対象となります。ただし、州の富裕税は純額で評価され、納税者は富裕税額からすべての個人負債を差し引くことができます。⇒資産から負債を差し引くネット計算。
州は富裕税の税率を自由に設定することができます。さらに、ほとんどの州では、市町村も富裕税 を課しています。
そのため、富裕税の税率は一律ではなく、州間および州内の地域間で大きく異なります。
例えば、スイスで最も富裕税が高い州とされるジュネーヴ州では、富裕税の帯域と税率は次のとおりです。

純資産に対して、累進課税が課せられている一方、税率自体はそれほど高くはないので、富と社会分配のバランスを両立した制度と言えるかもしれません。
岸田首相はゴールデンウィーク中に6カ国を外遊し、5月5日、ロンドンで「安心して日本に投資してほしい。インベスト・イン・キシダ」と訴えました。日本人の貯蓄を投資へ向かわせ「資産所得倍増を実現する」と表明しています。
これまで、政府は個人金融資産を投資に向けさせたいと、NISAを始め、様々な対策を講じてきましたが、データを見る限り、うまく機能したとは言えません。
お金は、税金の高いところから逃げ、安いところへ行く性質があるものです。
ですから、スイスの資産課税を参考に、現預金課税をすれば良いと思います。
仮に1,000兆円の現預金に、平均して0.5%課税した場合、5兆円の税収アップになります。
預金課税を嫌う個人が株式投資に資金を回せば、株式市場全体の購入者が増え、株価押し上げ要因となります。株式売買で儲かった時に、投資家が支払うキャピタルゲイン課税も増えるでしょう。
株はリスクが高くて嫌だという個人投資家には、国債を買ってもらえば、良いと思います。利率は低くても、元本は保証される上、国としては、財政を支える資金となるので、決して悪い話ではありません。
私は、日本は預金課税を検討すべき時期に来ていると考えます。
