3月23日 株式会社みずほフィナンシャルグループ(以下「みずほ」)とグーグル・クラウド・ジャパン合同会社(以下「グーグル」)がデジタル トランスフォーメーション(DX)分野における戦略的提携で合意したと、両社から発表がありました。
https://cloud.google.com/blog/ja/products/gcp/strategic-alliance-with-mizuho
株式市場は、提携のニュースを好感し、買われる場面もありましたが、業績へのインパクトが不透明なことから、提携から1週間ほどで発表前の株価水準まで戻りました。
しかしながら、この提携には、両社の様々な思惑や事情が混在しており、注目すべきニュースだと思っています。
相次ぐシステム障害で出遅れた金融DX、デジタル化の強化が目的であることは、明らかであります。世界的に見れば、みずほのみならず、日本の銀行は、海外の銀行に比べ、デジタル化が遅れていることは言うまでもありません。
3月30日付け日経電子版では、米銀JPモルガンチェースは社員約25万人のうちエンジニアが5万人である一方、三菱UFJグループ社員約14万人のうち、IT人材は4000人にすぎないので、システム人材育成は急務であると指摘されていました。
みずほとしては、後ろ向きな、システム障害対応へのIT人材投入と、前向きな金融DXの二兎を追うことは無理と判断し、今回の戦略的提携に踏み切ったと言えるでしょう。
グーグルは昨年9月、スマホ決済サービスの「pring(プリン)」(以下「プリン」)の買収を完了しています。グーグルは自社のスマホ決済サービス「Googleペイ」を展開し、このサービスを日本で普及させるためプリンを買収したと報じられたものの、買収規模が100億円を超えるものであった(正確な買収額は非公表)ため、グーグルの意図が読めないという指摘も多くありました。
私自身、どう考えても投資回収は難しいのではないかと考えていました。
では、グーグルはなぜ、プリンを買収したのか?
ここからは、確率の低い想像としてお読みください。
グーグルは日本で金融事業を拡大するには、銀行のネットワークが欲しかった。日本は貯蓄志向が強く、スマホ金融だけでは、事業拡大に限界がある。特に、預貯金額が多い65歳以上のユーザーを取り込むには、銀行と提携もしくは買収が不可欠。
では、どこと組むか?より、有利な条件で組める相手はどこか?
そこで、相次ぐシステム障害で、利用者、金融当局から厳しい批判を受け、経営が不安定なみずほにターゲットを絞った。
その足掛かりとして、みずほFG,みずほ銀行は出資していたフィンテックベンチャー企業プリンを買収した。
<両社の時価総額>
では、少し視点を変えて、みずほとグーグルの時価総額を見てみてみましょう。日本でみずほとグーグルの提携の話題がでると、あたかも対等な提携のように見えますが、真実は、グーグルがみずほの生データを解析し、サービスのバックヤードを担うことで、グーグルがデータテクノロジーカンパニーとして、益々巨大化することだと考えます。
グラフ1:時価総額(単位:兆円、1ドル120円換算)

グラフ2:グーグル現預金

グーグルの持ち株会社Alphabetとみずほでは時価総額で55倍以上の差があるうえ、グーグルの現預金は17兆円弱あり、まさにモンスター企業です。
将来、グーグルがみずほを買収する可能性があるか?と聞かれれば、私の答えはYESですが、政府、当局の判断次第と言えるでしょう。
プリンのグーグルによる買収は昨年8月完了予定が約1カ月遅れました。その要因は規制当局が慎重に審査したためです。IT巨大プラットフォーマーであるグーグルの競合は、もはや民間企業ではなく、政府や規制当局です。
グーグルとの戦略的提携により、みずほが実店舗やオンラインで、どのようなサービスを打ち出すのか?企業カルチャーが変革するのか?金融DXで一気に挽回するのか?注目すると同時に、目新しいサービスがリリースされれば、是非利用したいと思っています。
