失敗こそ最大の財産

今週は、失敗は財産であるという考え方を紹介するため、ご存知の方も多いかもしれませんが、明治~昭和を生き抜いた日本の実業家、思想家であり、自己啓発を体系化した偉大な哲学者でもある中村天風先生の教えから、私が気に入っており、また肝に銘じているエピソードがありますので、紹介したいと思います。

<以下、「運命を拓く」中村天風著(講談社1994年1月初版)第四章より抜粋>

”事業をしている人の参考のために話そう。私が若い時に、非常に可愛がってもらった日比谷平左衛門という人が日本橋の堀留にいた。横浜の棒手振り(※1)から始めて、ついにはその当時のお金で5億円からのお金を創ったという有名な働き手だ。ちょうど私が知り合いになってから2年目であったと思う。(1900年前後と推定)インドから綿花を仕入れて、その船が上海に停泊している時に船火事を起こして綿花が丸焼けになった。そのために兜町で綿花の相場が急騰したくらいだったが、その火災による損失額が約2億円になっていた。その当時の2億と言えば、今の(1960年前後と推定)2000億円にもあたる大変な額でもう一文無しになった。本人はどれだけがっかりしたかと思って、

私が「とんだことが起きましたな。」と言ったところが、「いや~、はっはっはっ、また儲けさせてもらう大きな動機が出来ましたよ」と言う。「えっ」と言って、「承れば(聞いたところによると)2億からの損害だそうで」「いや~、私はそれを損害だと思っていません。2億の元金をこしらえないで、神がそれをこしらえてくれて、今度はその倍数が戻ってくると思うと、大きな楽しみです」と言った。

やっぱり偉い人間はさすがだなと思った。対して学問もない棒手振り、棒手振りというには横浜の波止場で船に積みだす軽い荷物を荷籠の中に入れて担いでいくという、まあ今はいないが、昔は軽子(※2)人足といった。それから成り上がった人だがね。そういう大変なことに合ってもびくともしない。ところがどうだ、今の事業家を見てみなさい。

わずかの不渡りを受けても、すぐ青菜の塩みたいになり、少々の損害を受けても「もうダメだ」と言ってしまう。
だから、戦後の世の好景気にやたらあおられて高度成長したやつが、バタバタバタと将棋倒しに倒れてしまうのは、欲の皮だけ突っ張っていて、心にちっとも信念というものが無いからである。

※1:魚、青物などを天秤棒(てんびんぼう)でかついで、振売りすること。
※2:魚市場や船着き場などで荷物運搬を業とする人足

<以下、「信念の奇跡」中村天風述者(日本経営合理化協会出版局 2021年10月初版)第八章より抜粋>

”事業に失敗したり、営業にやり損ないが出たりすると、なにかその罪が自分以外のものにあるように思って、滑稽なことを平気で言う人があるんだ。
「私はもう先生の教えどおりに一生懸命やってたんですけど、なにしろ取引先が不渡りをだしたんで・・・」
私はこう言ってやったんだ。
「不渡りを出すような奴を相手に商売したというのが、すでに認識の誤りじゃないか」
「そりゃあ先生、神さまじゃなきゃできませんよ」

「馬鹿こけ。おまえの心に雑念妄念がなくて純真な気持ちでいたら、相手が立派な人間か、少し危ない人間かということがわかるはずだ。結局、原因は自分にあるわけじゃないか。自分の心に雑念妄念があったから、人を見る目に誤りがくるんだよ」

すべては、自分で蒔いた種から生えた結果なんです。だから、よほど気を付けなきゃ駄目なんだよ。”

事業をしている以上、問題、課題が数多く出てきます。しかしながら、考え方を変えて、自分の心に雑念妄念がないか?純真な気持ちで人と接しているか?人の世に役立つような結果をつくろうとしているか?を毎日試すトレーニングと申しますか、自己鍛錬というべきか、自己の心を鍛錬する場と考えると、仕事というには、なんと素晴らしい機会なのかと実感します。
当社が今推進している事業は、まさにたくさんの失敗を基盤とした事業であり、過去の失敗を財産に換える作業を、社員、役員全員で取り組んでいます。
私たちの失敗に興味のある方は、遠慮なくメールでお問い合わせください。

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