パナマ文書とEU離脱

先週10月25日のコラムで、タックスヘイブンの多くの国はイギリスの管轄であることをお伝えしました。
ここで少し変わった年表をお見せしたいと思います。

1. 英国がEU離脱した要因

  • 東欧諸国からの移民の流入に対する不満
    ⇒低賃金の労働力流入による失業、人口増加による財政逼迫等
  • 国家主権もEUに移譲させようとするEUへの反発
    ⇒通貨の統一はしたものの、財政は各国に任せた歪な統一は限界があることが、2009年のギリシャ財政破綻で露呈した(=ユーロ危機)ことから、EUは国家主権もEUへ移譲する動きを強めた。
  • 法律、社会制度が異なる国が統一することには元々無理があった
    ⇒大陸法(明文化された法律)、英米法(過去の判例をベースに司法判断)の違い

2. ここからはフィクションです。

エリザベス女王「パナマ文書流出以来、100年以上かけて築き上げた英国領の制度が脅かされています。まして、EUに主権を侵害されるなどもってのほか。」
側近「どのようにいたしましょうか?」
エリザベス女王「まずはEUから離脱し、EUの法律が及ばない状態に戻しましょう」
側近「雇用や物流でのマイナス面が多いのですが・・・・」
エリザベス女王「英国領(タックスヘイブン)の金融資産規模を考えれば、とるに足らないことです。」
側近「かしこまりました。しかしながら、極めて国民の生活に関わる重要な事案ですので、国民投票は実施致します」
エリザベス女王「承知しています。結果は僅差で、離脱賛成可決するように」
側近「はい。仰せの通りに対処致します」

このようなことを書くと、バカも休み休み言えと言われるかもしれませんが、海外の金融市場やスイスの金融制度で働いた者としては、パナマ文書は英国王室の逆鱗に触れたのではないか?とすぐに感じました。

3. 専門家の意見

“英国からみたEUの意義は、あくまでも「独立した主権国家間の合議体」にあり、加盟国の国家主権を限りなくEUに移譲する「欧州合衆国」のビジョンに英国は一貫して反対であった。実際、共通通貨ユーロの導入や、域内の人の自由な移動を可能とするシェンゲン協定といった統合深化の試みには参加していない。つまり、Brexitの本質は、加盟国によるEUへのこれまでの主権移譲は行き過ぎであり、「主権を取りもどす」ことにある。
(兒玉和夫前欧州連合日本政府代表部大使)
https://www.keidanren.or.jp/journal/times/2020/1119_08.html

EU離脱の解説について、様々な文献を読みましたが、兒玉和夫前欧州連合日本政府代表部大使のコメントが最も簡潔に的を射ていると思いましたので、引用しました。
この、「主権を取り戻す」=「タックスヘイブンを維持する」に聞こえるのは私だけでしょうか?

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