10月8日 世界136カ国・地域が、法人税の国際的な最低税率を15%とする新たな国際課税ルールで合意しました。
バイデン米大統領は「歴史上初めて国際的な最低税率が導入されることで、米国の労働者と納税者、および世界の国々にとってようやく公平な競争環境が整う」と表明した一方、スイス財務省は声明で、「経済規模の小さな国々の国益を配慮するよう要求。23年の導入は不可能」だとしており、実行には多くのハードルがありそうです。
国際課税ルールは課税逃れを防ぐことが目的ですが、本稿は、この国際課税ルールを作る要因となっている、タックスヘイブン(Tax Haven:税の避難所、低税率国)を紹介したいと思います。
<タックスヘイブンの定義>
タックスヘイブンとは、本国での税負担を軽減するために、外国人や外国企業への課税を有利な条件で行っている国のことです。
タックスヘイブンという言葉は、明確に定義されているわけではありません。ある国がタックスヘイブンであるかどうかについては、絶対的な制限はありません。基本的には、ある個人や企業にとって条件が合えば、どの国でもタックスヘイブンになり得ます。制度、控除等の利用の仕方によっては、ドイツやアメリカでさえタックスヘイブンとみなされることもあります。
本稿では、タックスヘイブン=オフショア金融センターを取り上げ、外国人投資家にとって非常に低い実効税率で税金が課せられるオフショアにはどのような国があるのか?見ていきましょう。
タックスヘイブンには大量の資本が流入し、政府の収入を得るために、手数料や課金、さらには低税率を課しています。高税率国では、企業が利益を他国に移転することで法人税収が減る一方、タックスヘイブンはその国への投資資金調達コストを削減し、間接的に経済成長を促進します。
⇒今回の国際税率ルールは、これを防ぐことが目的。
<タックスヘイブンTOP10>
タックスヘイブンというと怪しいと思われるかもしれませんが、タックスヘイブンにある信託や会社を通じての投資は合法です。
IMF(国際通貨基金)、FATF(マネーロンダリングに関する金融活動作業部会)、EU(欧州連合)、FSI(Financial Secrecy Index:お金を隠すための国の法律の有効性を測定する指数は)などを総合すると、下記10ヵ国が世界タックスヘイブンのトップ10となるようです。

007をはじめとするスパイ映画で幾度となく登場する、お馴染みの国もありますね。
<各国の特徴>
1.ルクセンブルク Luxembourg

ルクセンブルクは世界で最も優れたタックスヘイブンと言われています。Citizens for Tax JusticeとU.S. PIRG Education Fundの報告書によると、米国のフォーチュン500企業(※1)の約30%がルクセンブルクに子会社を持っています。例えば、アマゾンは欧州での売上をすべてルクセンブルグの欧州本部に流しています。
※1 https://fortune.com/fortune500/
2.ケイマン諸島 Cayman Islands

ケイマン諸島には、世界の銀行資産30兆円の15分の1に相当する銀行資産があります。ケイマン諸島では、法人税がないことに加えて、財産税、所得税、給与税などの居住者への直接税も課されません。ケイマン諸島は、投資で得た利息や配当金にも法人税や所得税がかからないため、ヘッジファンド・マネージャーに人気があります。ケイマン諸島には、ペプシ、マリオット、ウェルズ・ファーゴなどのフォーチュン500企業の子会社があります。
3.マン島 Isle of Man

グレートブリテン島(英国)とアイルランド島に囲まれたアイリッシュ海の中央に位置する島で、
人口は約8万人。マン島の経済は、保険、オンラインギャンブルの運営・開発者、情報通信技術(ICT)、オフショア銀行などが主要なセクターを形成しており、低税率の経済となっています。
マン島は、イギリス諸島に属していますが、イギリスの一部ではなく、欧州連合の加盟国でもありません。
少し古いデータですが、2016年現在、世界銀行の調査によると、マン島の一人当たりの国民総所得(GNI)は89,970米ドルで世界3位。日本は41,710米ドルで世界28位です。(※2)
※2 https://databank.worldbank.org/data/download/GNIPC.pdf
4位以降は、追って解説していきます。
