未公開企業への投資環境~米国との比較

先週12日(月)のコラムでSPACについて解説したところ、早速翌日13日、”ソフバンクG出資東南アジア配車大手グラブ、米国上場へ-SPACと過去最大規模の合併“というニュースが飛び込んできました。グラブの企業価値は、米投資会社アルティメーター・キャピタル・マネジメントのSPACとの合併後、約396億ドル(約4兆3300億円)となります。グラブはブラックロックやフィディリティ・インターナショナル、ティー・ロウ・プライス・グループなどの投資家から40億ドル(約4,000億円)を調達します。グラブはシンガポール本社の会社ですが、未公開企業のスケールを解説するには、米国と日本の比較をするのがわかりやすいので、今週は未公開企業の投資環境から日本でのSPACの必要性について私見を述べたいと思います。

1. 日米の未公開企業への投資額

昨年2020年のベンチャーキャピタルの年間投資額は、米国は約16兆6775億円、日本は1512億円と100倍以上の差があります。
また、米国の投資内容を見てみますと、10,862社に16兆円以上の資金が投資されています。

2. ベンチャーキャピタルの役割

この図は、NVCA(National Venture Capital Association米国ベンチャーキャピタル協会)の年次報告からの抜粋です。ベンチャーキャピタルの役割を明確に示していますので、紹介します。創業期、製品開発時期、オペレーション拡大時期は赤字が続くので、この資金マイナスを埋めるのがベンチャーキャピタルの役割であり、非常に重要な役割を担っていると説明しています。製品・サービスが売れ、資金がプラスに転じるまでは時間がかかるので、資金はマイナスからプラスへ転じるまでをサポートするのがベンチャーキャピタルの役割です。日本でもこのモデルを理解し、サポートするベンチャーキャピタルは存在しますが、米国とはベンチャーキャピタルの社数、ファンド規模=投資できる金額に大きな差があるので、なかなか大型のベンチャー企業が日本では出てこないのも仕方がないことかもしれません。

3. SPACの必要性

前述した通り、米国では昨年16兆円以上の資金が未公開企業へ投資されました。また、投資家は投資した後は、投資資金を回収するため、投資先の企業価値を高め、M&Aで会社を売却する、株式市場へ株式を公開(IPO)することを目指しますが、市場規模が大きいだけに、投資回収も一筋縄ではいきません。私は前職の銀行在籍時2001年サンフランシスコのCrosslink Capitalというベンチャーキャピタルに勤務させてもらい、投資先のリクルーティングや経営会議に参加していました。サンフランシスコからシリコンバレーは道が空いていれば約1時間で行けますが、通勤時間帯は渋滞するので、朝5時頃にサンフランシスコを出発して、シリコンバレーへ向かう日々でした。ベンチャーキャピタリストは労が多いだけに、投資先への思い入れがあり、同時に高いリターンを目指したいという強い意思が働いています。しかしながら、めでたく出口(投資回収)を迎えられるのはごくわずかであるのも事実ですので、莫大な投資資金を回収する出口戦略(投資回収戦略)の中で、SPACが重要視されてきたのは、必然の流れかもしれません。
一方、日本は未公開企業へ投資規模は米国の100分の1に過ぎませんので、SPACのような制度は現時点では必要ないと思います。

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