当社の主要メンバーは、医療分野のM&A、医療物流システムの開発など長年、多くの医師の方々と仕事上のお付き合いをしてくる中で、会食の機会も数えきれないほどありました。しかしながら、いつも疑問に思っていたのが、医師の先生方にはワイン好きが圧倒的に多いという点でした。医学部ではワインの効用を教えているのではないかと疑うくらい、ワイン好きな先生が多いのです。幸運にも私は2003年に日本ソムリエ協会のワインエキスパート(サービス業に従事していればソムリエ)という資格を取得したので、会食の席では多いに役立ちましたし、今でもワインは仕事と切り離せない重要なアイテムになっています。そこで、今回は番外編として、「医師がワイン好きなわけ」について、少し専門的に解説したいと思います。また、解説にあたっては、日本ソムリエ協会の教本をベースに解説しますので、興味ある方は、是非、教本を購入して読んでみてください。
日本ソムリエ協会教本2021 https://ec2.sommelier.jp/products/detail/1325
EKインベストメンツ代表が解説 ワインの効用と飲み方
1. ワインは自然なお酒
1キログラムのブドウを搾り取った果汁、ワインの量は600ml~800mlです。ワイン1本は一般的に750mlなので、概ねワイン1本を作るには約1kg~1.2kgが必要となります。麦や米を原料とする、日本酒、ビール、ウィスキー、焼酎等他のお酒は醸造の際に水を必要としますが、ワインはブドウ果実に含まれる糖分を直接発酵させるので、水は必要ありません。ワイン以外のお酒にとって、味の決め手となるくらい水が重要である一方、ワインは水を一切必要としないので、原料のブドウそのものが味の決め手になります。ブドウ品種はソムリエ協会の教本で紹介されているもので、約130種類、また各地特有の品種まで含めると約1500種類はあると言われています。また、同じブドウ品種でも土壌、地形、気温、日照時間、雨量等の自然条件によって、味が大きく変わる上、同じ場所でもヴィンテージ(ブドウの収穫年)によっても、味が違いますので、味のバリュエーションは際限がありません。自然界の生鮮果実がそのままお酒になったのがワインと言えます。また、料理とワインのありとあらゆる条件を踏まえて、目の前にある料理とワインの最高の組み合わせを提案することは簡単ではないからこそ、ソムリエという職業があるのだと思います。
2. 赤ワインの効用を活かした飲み方
赤ワインがなぜ心疾患に効果があるのか? 動脈硬化の原因はLDL(いわゆる悪玉コレステロール)そのものではなく、LDLが酸化すると動脈硬化を引き起こす確率を上げることが明らかになってきています。血液検査でLDLが高いだけでは大きな問題ではなく、LDLを酸化させないことが重要と言えます。赤ワインに含まれるポリフェノールは、ブドウの果皮、種に多く含まれており、抗酸化物質です。ポリフェノールやフラボノイドは身体にとって有害で、過剰な活性酸素を体内で消去する力を持っています。もう一つ、赤ワインに含まれる良い成分として、リスベラトロールが含まれています。リスベラトロールは抗カビ物質であり、LDLの酸化を防止し、血小板凝集を抑制し、血栓症を予防することが報告されています。肉好きな方には残念なお知らせですが、肉を始めとする動物性食品にはエンドトキシン、トリメチルアミンN-オキシド(TMAO)、ヘテロサイクリックアミン、ヘム鉄など、多数の化合物や分子が含まれており、これらは動脈を炎症させ、発がん性物質を含みます。しかしながら、ポリフェノールやリスベラトロールを含む赤ワインを同時に摂取すれば、血中の酸化や炎症速度を抑えることができるので、肉に赤ワインは道理に合っていると言えます。
3. 白ワインの効用を活かした飲み方
白ワインは、赤ワインに比べポリフェノール含有量は半分から3分の1程度です。しかしながら、白ワインのポリフェノールの方が、LDL酸化作用が強い、血小板凝集抑制効果が大きいというデータもあります。これは、白ワインのポリフェノール分子が赤ワインのポロフェノールの分子に比べ、小さく、身体に消化吸収されやすいことによるものです。白ワインには、酒石酸、リンゴ酸など約0.5%もの有機酸が含まれ、腸内細菌群のバランスを整える効果があります。また、忘れてはならないのが、殺菌効果です。白ワインの有機酸は、大腸菌やサルモネラ菌に対する抗菌力が高く即効性があります。映画「ロビンフッド」(2010年公開、ラッセル・クロウ主演)でフランス王フィリップがセーヌ川岸で、ひたすら生牡蠣を食べ、白ワインを飲むシーンがありましたが、800年前でも生牡蠣と白ワインは安全に食事を楽しむという点から最高の組み合わせだったのかもしれません。
身体に消化吸収されやすい白ワインを食事の前や前菜と一緒に飲み、食事の後半で赤ワインを飲むという順番は理にかなった飲み方なので、毎日の食事にワインを加えて、より健康的な食生活を意識してみてはいかがでしょうか?
