2024年テクノロジートレンド:グリーンテクノロジー

主要なテクノロジー企業がグリーンテクノロジーの採用を進めており、これが2024年まで続くと述べています。アップルは2030年までに100%カーボンニュートラルを目指し、グーグルも同年までにデータセンターとキャンパスをカーボンフリーにする計画です。環境意識の高まりに伴い、グリーンテックの採用が拡大し、米国内のグリーンテック投資は2019年の406億ドルから2024年には834億ドルに増加すると予測されています。PWCの調査によると、CEOの39%が事業の将来に懸念を抱え、グリーンテクノロジーへの転換が必要だと考えています。消費者の75%は気候変動に対抗する企業から購入する傾向があり、これはブランドイメージと顧客ロイヤルティの向上に貢献するとされています。
今週は、来年以降、2030年まで積極的投資が継続するグリーンテクノロジーについて、考察します。

  1. 低炭素水素技術
    従来の水素製造はエネルギー集約的で、化石燃料に頼ることが多いと思われますが、再生可能エネルギーや原子力エネルギーを使って水を電気分解し、炭素排出ゼロで水素と酸素に分解することには課題があります。
    (1) 再生可能エネルギーによる水素製造
    再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力など)を用いて電気を生成し、その電気で水を電気分解することにより、水素を生成することは技術的に可能。
    課題:
    再生可能エネルギーのコストは近年大幅に低下していますが、水素製造のコストは依然として高いのが現状です。電気分解装置のコスト、エネルギー変換効率、運用コストを下げることができるテクノロジーが出現すれば、再生エネルギーによる水素製造が一気に現実的になりそうです。

    (2) 原子力エネルギーによる水素製造
    原子力エネルギーを利用して安定した電力供給を行い、それを用いて水の電気分解を行うことも技術的には可能です。
    課題:
    2011年の福島第一原発事故以降、日本では原子力安全基準が大幅に強化され、厳格な基準を満たすためには、発電所の設備のアップグレードや新しい安全対策の導入が必要です。
    原子力エネルギーは、炭素排出はゼロですが、核廃棄物の処理や安全性の問題が残ります。

    日本は広大な大地や安定した気候がある国ではないので、私個人的には上記(1)の再生エネルギーで水素を製造するには限界があると考えています。福島第一原発事故以降、脱原発を唱える人、支持する人が多いことは理解していますが、私は原子力エネルギーを利用した水素製造の方が実現性及び継続性が高いのではないかと考えています。

    (3) 貯蔵と輸送技術
    製造された水素の効率的な輸送と長期貯蔵技術の開発が必要です。
    課題:
    高圧化、液化、化学的担体への結合など、多様な方法の研究が進められていますが、商用化には時間がかかります。

  2. 炭素回収技術(Carbon Capture and Storage, 以下CCS
    (1) 工業排出源からの炭素回収 : 石炭や天然ガス発電所、製鉄所などの大規模排出源からCO2を捕捉します。
    (2) 大気からの直接空気回収 (Direct Air Capture, DAC) : 大気中のCO2を直接取り出す技術です。
    (3) CO2の利用 : 捕捉したCO2を利用して合成燃料や化学製品を製造することで、新たな市場を開拓します。
    (4) 地下貯蔵 : 捕捉したCO2を地下の地質構造に安全に貯蔵します。
    課題
    ■ 高コスト : 現在のCCS技術は非常にコストが高く、広範囲での実装を困難にしています。
    ■ エネルギー消費 : CCSプロセス自体が多くのエネルギーを消費するため、全体の環境負荷を増加させる可能性があります。
    ■ 貯蔵の安全性 : 地下にCO2を長期間安全に保管するための確実な方法と、漏れリスクの管理が必要です。
    ■ スケールアップの難しさ : 大規模な排出削減には、大量のCCS設備が必要ですが、これを実現するには莫大な投資と時間が必要です。
    CO2の捕捉、使用、貯蔵に必要なエネルギーが少ない先進的な溶媒技術の開発や、低コストでCO2選択性の高い固体吸着剤などがあります。さらに、膜技術を使った他のガスからのCO2ろ過は、効率と拡張性を向上させるために改良が加えられていますが、高コストが大きな課題となっています。
    逆の考え方をすると、低コストのテクノロジーが出現すると、市場を席捲する可能性が高いとも言えます。
    日本から、このハイリスク、莫大リターン投資ができる会社が出現することを期待しています。

  3. 合成生物学
    新型コロナウィルスは、公衆衛生を守るための合成生物学の重要性を前面に押し出し、合成mRNAのようなイノベーションが前例のないスピードでワクチンを開発できる計り知れない可能性を提示しました。
    しかし、合成生物学はさらに発展し続けており、生物学、工学、コンピューターサイエンス、バイオテクノロジーを融合させた学際領域()であり、医療、農業、環境の持続可能性に劇的な影響を与える画期的な応用を可能にします。

    学際領域(Interdisciplinary field)とは、二つ以上の異なる学問領域が交差し、統合されて新しい知識や方法論を生み出す分野を指します。このアプローチは、複雑な問題や現代社会が直面する課題に対処するために、異なる専門分野からの知見と技術を組み合わせることを目的としています。
    医薬品開発のみならず、農業、バイオ燃料、食品科学、環境修復など、多岐にわたる分野での応用が進んでいます。
    多くの国で合成生物学の研究への投資が増加しており、スタートアップや大手企業もこの分野に注目しています。

低炭素水素技術、炭素回収技術、合成生物学、これら3つのキーワードに直接関与できる事業がある会社は極めて有望ですし、間接的に関与できる事業を持つ会社は間違いなく、2030年に向けて事業拡大できる可能性が高いと言えるでしょう。

archives

  • 2026 (14)
  • 2025 (52)
  • 2024 (51)
  • 2023 (47)
  • 2022 (52)
  • 2021 (60)

Latest Posts


投稿日

カテゴリー:

投稿者:

タグ:

コメント

コメントを残す

kozuka.blogをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む