先週5月10日のコラムで紹介した、ワクチン接種率と新規感染者数の推移グラフに関しては、読者の皆様から大変興味深いと好評でした。週末の報道系のテレビ番組では、ワクチンをいかに早く接種すべきかと、接種の仕組みをどう作るのかという議論が白熱する中、先週、グラフで紹介した国のひとつ、ワクチン部分接種率が50%を超えた英国では、(5月16日現在)過去28日間で陽性反応があった感染者で、昨日5月16日の死者数は4名まで減少し、完全にコロナはワクチン後の社会になりつつあります。(死者数合計は127,679人と日本の死者数合計11,615人の約10倍)
メディアでは当然のことながら、政治の責任や政治のリーダーシップを追及する論調が多く、既に読者の皆さんも各種メディア、SNSを通じて、コロナに関する政治の課題については、見聞きする機会が多かったと思いますので、私は少し違う視点で、経済人、金融人としてどう捉えるべきか、何が課題なのかを解説します。
下記は昨年2020年のIPO初値時点の時価総額ランキングです。

1位の顧客データプラットフォーム事業を展開するプレイドが唯一時価総額1,000億円を超えました。また、データ解析で強みを持つニューラルポケットや遺伝子治療ベンチャーのモダリスなど、次世代を担う新興企業が上場したことは、コロナ禍においても明るい材料は多くあることを示しています。
一方、米国の昨年のIPO市場を顧みますと、時価総額1位はみなさんもご存知の民泊仲介最大手のairbnbで、IPO初値の時価総額は約10兆円。10位のWarner Music Group約1.4兆円で、ベスト10に入るには1兆円を超えないとランクインしません。日本でも注目事業であるデータ解析という点で注目すれば、米国ではPalantirが上場し、初値の時価総額は約2兆円、直近では約5兆円まで時価総額(株価)は上昇しています。
参考:https://www.morningstar.com/articles/1014850/the-10-biggest-ipos-of-2020
ワクチン開発、治療薬開発には1,000億円単位の多額の投資が必要となります。ワクチンで毎日のように社名を聞くファイザーの時価総額は約25兆円、一方、国内製薬会社で時価総額トップは中外製薬約6.8兆円、武田薬品工業約6兆円です。こんなことはありえませんが、仮に製薬会社が時価総額の1%相当の株式を発行し、資金調達をすると仮定しますと、ファーザーは2,500億円資金調達できますが、武田薬品は600億円しか資金調達できません。
この差が生まれる根源は、極論すると世界中の会社や個人を対象顧客とするグローバルカンパニーか、国内の会社や個人を対象とするドメスティックカンパニーかだと思います。シリコンバレーのスタートアップ企業は最初から世界制覇を目指して、事業計画を立案し、資金を調達し、事業展開します。当然、事業が立ち上がるまでは、多額の損失が発生しますが、投資家も目先の小さなリターンではなく将来の大きなリターンにかけることが多く、目先の利益ではなく、市場占有率、もしくは市場支配率を上げることを推奨してきます。本年2月1日のコラムで紹介したピーター・ティールは市場占有率を優先する典型的な投資家です。
日本は言うまでもなく、少子高齢化が進む社会であり、国内全体の市場規模が大きくなることはありません。(もちろん特定の業種や、時期によっては拡大する市場もありますが)日本を牽引しているトヨタ自動車、ソフトバンクグループ、ソニー、ファーストリテイリングはみな、海外売上比率が相応に高いグローバルカンパニーです。
私たちのように中小企業やスタートアップ企業の現場にいる会社や個人、ベンチャーキャピタルを始めとする未上場企業へ投資する投資家、事業が拡大した時に上場をサポートする証券会社、監査法人、弁護士、会計士等の専門家、上場審査を行う取引所、そして上場後に投資する機関投資家、会社に関係する全ての人たちがグローバル化の必要性、重要性を再認識すべき時ではないでしょうか?
追伸
今回のコラム掲載にあたり、使用させていただいております上場時(初値時)時価総額ランキングの著作権は東京IPO様及び運営会社様の著作権です。
その他有意義な記事が満載のサイトですので、皆様既にご存じかもしれませんが、まだの方は是非ご一読ください。http://www.tokyoipo.com
